同一はない

 

 

 

 

 

 

天界と地獄405

 

 他生に入ってくる者は殆ど凡て、地獄は各々の者に同一であり、天界も各々の者に同一であると考えているが、しかし地獄にも天界にも無限の変化と相違とがあって、一人の者の地獄は決して他の者の地獄とは全く同一ではなく、一人の者の天界も他の者の天界と全く同一ではなく、そのことはどんな人間でも、霊でも、天使でも、その顔においてさえも、他の者とは全く決して同一ではないことに似ている。私が二人が全く同一であり、または等しいと考えたのみで、天使たちは慄然として言ったのである、一つの物は凡て多くの物が調和をもって共に働いていることから形作られており、その一つのものの状態はその共働のいかんに応じており、このようにして天界の一つの社会は全体として一つのものとなり、天界の各社会は凡て共に合して一つのものとなっているが、このことは主のみから愛を通して起こっているのである。天界の用も同じく凡ゆる変化と相違とを持っており、いかような場合でも一人の者の用は他の者の用に全くは似ておらず、また同一でもなく、かくて一人の者の幸福は他の者の幸福に似ておらず、また同一でもない。更に、各々の用の歓喜は無限であって、その無限の歓喜も同様に多様であるが、依然その歓喜各々は互いに関連するような秩序をもって共に連結していて、身体内の各肢体、器官、内蔵の用に似ており、更に各肢体、器官、内蔵の各々の脈管、繊維にも似ており、そこではその一切のものはそのもの自身の善を他のものの善の中に求め、かくて各々の善を凡てのものの中に求め、また凡てのものの善を各々の中に求めているというように、その一切のものは関連づけられており、そのように全般的にまた個別的に関連していることからそれらは一つのものとして活動しているのである、と。

 

 

*1 一つの物は種々の物から成り、そこから調和と一致との性質に応じて形と性質と完全とを受けている、457、3241、8003。無限の変化があり、いかような物も他とは決して同一ではない、7236、9002。