アルコール依存症

 

 

1.マザー・テレサ

2.マーリン・キャロザース

3.サンダー・シング

 

 

 

 

 

1.マザー・テレサ

 

 

マザー・テレサ/愛と祈りのことば/PHP文庫/P108

 

  他人を咎める資格が私たちにあるのでしょうか。

 たしかに正しくないと思うことをしている人たちがいます。

でも、なぜそうしているかという理由はわかりません。

 イエスは、人を裁くなと言われました。

 もしかしたら、他人の誤った行いの責任は、私たちにあるのかも知れないのです。

 

  皆、私たちの兄弟姉妹であることを忘れないでいましょう。あのハンセン病者も、

この病気の人も、あの酔っぱらいも、皆、私たちの兄弟姉妹なのです。

その人たちも、神によって創られた人たちなのです。

 これは私たちが決して忘れてはいけないことなのです。

 

  あの病人も、このアルコール依存者も、この盗人も、皆、皆、私たちの兄弟姉妹なのです。

 誰も彼らに愛と理解の手を差し伸べなかったから、街をうろついているのであって、

あなたも私も、他人から愛と理解を受けていなかったら、同じことをしていたかも知れないのです。

 

  一人のアルコール依存症の人が話してくれたことが心に焼きついています。自分がアルコールに

溺れたのは誰も愛してくれない事実を忘れたくてのことだったということでした。

 貧しい人たちを非難する前に、自分の心の中を見つめる義務が私たち一人ひとりにあります。

 

 

 

マザー・テレサ/愛と祈りのことば/PHP文庫/P110

 

  家族の間に、もう少し多くの愛、一致、平和、そして幸せがあったなら、

こんなに多くのアルコール依存症や、麻薬中毒者は生まれなかったことでしょう。

 

 

 

マザー・テレサ/愛と祈りのことば/PHP文庫/159

 

 私たちこそは、兄弟姉妹と考えるべき人々を排斥したり、拒否したりすることで、

その人たちをアルコールへ逃避させ、依存症にまで追いつめている張本人なのです。

彼らは飲むことによって、人生の惨めさを忘れようとしているのですから。

 

 

 

 

 

2.マーリン・キャロザース

 

 

マーリン・キャロザース/讃美の力/P131

 

あるクリスチャンの婦人がアルコール中毒の夫と長年結婚生活を続けてきましたが、とうとうその夫は法にふれるまちがいを犯して投獄されてしまいました。その婦人は国からわずかな生活保護を受け、子供たちを育てるために苦労しました。彼女はちゃんと子供たちを教会にも連れていき、周囲の人々の同情と尊敬を受けていました。

 友人たちはよく言いました。

「かわいそうなエドナ。彼女はあの子供たちを女手ひとつで育てたのですよ。日曜日には教会を休んだこともなく、一言の不平をもらしたこともない人です。それにくらべて、ご主人は何ひとつとりえのない人で、仕事も長続きしたことはなく、いつも酔っぱらっては家族の恥さらしをしているのですよ・・・」

 夫が刑務所にいる間に、エドナは離婚の正当性を感じて離婚しました。今や彼女は、今までよりはよい環境で子供たちを自由に育てることができるようになったのです。

 ある日のこと、友人が「獄中からの讃美」を彼女に届けてくれました。

 彼女は、長年の間味わってきた自分の惨めさを神に感謝するなど全く不可能だと思いました。しかし、讃美が他の人々の人生をいかに変えたかを読み、自分もやってみようと決心しました。

彼女は祈りました。

「主よ、夫のアルとお酒のことで感謝します。苦しい生活、不安と孤独の長年の日々をあなたに感謝します」

まもなく彼女は、以前の夫が刑務所から釈放されて、またもとの飲酒癖に戻ってしまったと聞かされました。しかし、なおも彼女は自分のその境遇を感謝し続けていました。

 やがて、徐々に彼女は、今まで気づかなかったある事に気づいてきました。かつての夫のことを神に感謝し、彼を愛し、ありのままの彼を受け入れることができるように神の導きを祈り続けているうちに、彼女は自分の方が飲酒よりももっと重大な罪を長年犯してきたことに気づいてきました。

 夫の目にあるちりを見ながら、自分の目にある梁には全く気づかずに過ごしてきたのでした。飲酒のゆえに夫を非難し、自分を正しいとし、彼よりも自分の方が価値ある人間と思っていたのです。それと同時に、自己憐憫と憂うつと、そして自分だけが犠牲になっているという気持にかられて毎日を過ごしていたのでした。

 ある時、彼女はついに叫ぶように祈りました。

「主よ、私の罪の方がアルの罪よりもずっと大きかったことがわかりました。あなたは私たちに互に愛し合いなさい、試練を喜びなさいと命じておられます。それなのに私は愛することも喜ぶこともしませんでした。主よ、どうぞ許してください。私がそのような自分自身を知ることができるように、あなたがアルを私に出会わせて下さったことを感謝します。今、彼をかえりみてください。彼が今まで受けてきた数々の傷をいやしてください。あなたの愛をもって彼に臨んでください」

 その日から後、エドナは自分の境遇をたやすく喜べるようになりました。彼女は、その境遇が神からのものであり、自分が愛と喜びで満たされるための神のご計画の一部であったことを知ったのです。さらに神を讃美し続けるにつれて、以前の自己憐憫や憂うつな気持はだんだんなくなり、毎日が新しい喜びの日々となりました。また、イエス・キリストの臨在を今までになく、驚きをもって意識するようになったのです。

 それから、まもなくその夫はふとしたことである教会の礼拝に出席し、キリストを自分の救い主として受け入れたのです。そして過去十五年間も縛られていたアルコール中毒から完全にいやされました。エドナとアルは再婚しました。そしてアルは、神に仕える全く新しい生活を始めるために大学で学ぶことになりました。

 難しい人間関係や苦しい一連の境遇は、私たちが成長する機会、すなわち、私たちの霊的筋肉を訓練する機会として神から備えられた愛の配慮によるものなのです。あるいはまた、それは私たちの中にある特別な弱さや過ちを示すための神の配慮なのです。

 

 

 

 

マーリン・キャロザース/この世に天国を/P94

 

 以前、私たちの事務所に次のような手紙が来ました。「私の夫は35年間アルコール中毒で、私は自分がいつも正しいと思い、善人ぶって他人を責めていました。おそらく、それが夫をアルコール中毒に追いやったのだろうと思います。その時、聖書をとおして、夫婦間における妻としての正しい位置付けを神に教えていただくなら、神の御国における夫の場所を保証していただけることを神に教わりました。私は夫が酔っている間、夫のベッドの隅にひざまずき、夫の権威を奪ったことを赦してくださいと言い、これからは従順な妻になることを約束しました。

 どうなったと思いますか。神はただちに行動を起こされました。夫は3日間微動だにせず、ベッドに寝ていました。夫はその後、起き上がりましたが、それ以来お酒を飲んでいません。夫はキリストと聖霊を受け入れました。神を賛美します。神はとてもすばらしいお方です。

 

 

 

 

3.サンダー・シング

 

 

サンダー・シング/聖なる導きインド永遠の書/P54

 

 あるとき、わたしは霊界において、後悔の叫び声をあげながら狂ったように駆け回っている一人の霊をみた。

 そのとき、天使がいった。

「現世でこの人は悔い改めて神に立ち返る機会を幾度となくもったのだが、良心に悩まされるようなことがある度に酒で心の痛みを流し去っていたのだ。彼は財産をすべて使い果たし、家族を没落させ、しまいには自殺を図った。そして今、霊の世界において、まるで狂犬のごとく辺りを駆け回り、自分の失った機会を思って後悔に悶え苦しんでいるのだ。われわれは彼を助ける用意はあるが、彼自身の歪みきった性質が悔い改めを妨げている。罪の記憶は彼にとって常に新しいにもかかわらず、罪が心を硬化させてしまっているからだ。彼は現世では良心の声を忘れるために酒浸りになっていたが、ここでは何一つ覆い隠すものはない。今や、彼の魂は裸になり、彼自身も霊界すべての住民も、その罪深い生活をみることができる。罪に凝り固まった状態にある彼にとっては、他の悪霊とともに闇の中に身を隠し、光の責め苦を少しでも逃れるより、他にとるべき道はない」