アホウドリ
「アホウドリ 愛のシンフォニー」/長谷川博写真集/講談社
伊豆諸島の南、絶海の孤島「鳥島」で繁殖するアホウドリ。一見するとアヒルに似ていますが、飛ぶ姿は優美、翼を広げると2.4メートルにもなる海鳥です。生まれたときはカラスのように真っ黒ですが、成鳥になるにつれ体は白く、頭はうっすらと金色、そしてくちばしはピンクになります。昔、羽根布団の羽毛をとるために乱獲され、1949年には絶滅が宣言されました。その後1951年に10羽の生存が確認され、保護活動が続けられた結果、ようやく1999年に1000羽を回復。
アホウドリは生涯同じ伴侶に添い遂げる一夫一婦制の鳥。動物界では一シーズンだけのつがいは珍しくありませんが、生涯に渡って同じ相手というのは珍しいのだそうです。夏は北の海で雄の群れと雌の群れは別々に暮らしていますが、繁殖期の10月になると鳥島に帰って来て夫婦は再会します。そして卵を一個生み、夫婦は共同して抱卵、ヒナ鳥を育てます。
夫婦の愛情は大変細やかで、見つめ合う姿や(同書P17)、片方がくちばしで相手の羽づくろいをし、片方が目を閉じて自分のくちばしを相手の羽毛の中に預けている姿など(P28)実に感動的です。
アホウドリの夫婦が寄り添う姿は、まるでスウェーデンボルグの言う「結婚愛」を彷彿とさせるような素晴らしい光景です。スウェーデンボルグは本当の結婚愛は現今殆ど見られないと言っていたかと思います。主は人間界において絶滅寸前の「結婚愛」をアホウドリを通して私たちに示してくださったのではないかと思われてなりません。
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