転倒

 

 

 

神の愛と知恵395

 

人間の理解はその人間の愛してはいない知恵の或る光の中へその者に特有な愛を超えてまで上げられることができ、かくして彼はその高い愛の中へまた入って、永遠の幸福を受けようと欲するならば、如何に生きなければならぬかを認め、また教えられることが出来るのである。しかし人間は、その理解をその人間に特有な愛の上にまで上げることの出来るこの力を濫用することによって、意志を自己と世を愛する愛の住居となし、理解を凡ての愛を確認するものの住居となすことによって、主(即ち、主から発する愛と知恵)の容器、住居となり得たであろうものを自分自身の中に転倒させてしまったのである。ここから意志と理解とのこの二つの住居は奈落的な愛の住居となり、またこの愛を支持し確認することによって、地獄では知恵として尊敬されているところの奈落的な思考の住居となるようになったのである。