籾殻
天界の秘義6208
遺伝的な自然的な善を受け、それによって他の者に善を為すことに歓喜を感じてはいるが、聖言、教会の教義から、または、宗教から、その何れからも善を為す原理には染み込んではいない多くの者がいるのである。かくて彼らは何ら良心を与えられることは出来なかったのである、なぜなら良心は自然的な、または遺伝的な善からは発しないで、真理と善との教義とそれに順応した生活から発するからである。こうした人物は他生へ入って来ると自分たちが天界へ受け入れられないことを怪しんで、自分たちは善良な生活を送ったと言うのである。しかし彼らは以下のように話されるのである。即ち、自然的な、または遺伝的なものから発している善良な生活は善良な生活ではなく、善良な生活は善と真理との教義に属しているものとそこから生まれる生活から発するのである、なぜならこうしたものにより人間は真で善いものに関わる原理を自分に印刻されて、良心を受け、それがその中へ天界が流れ入る面となるのである、と。こうした人物は、それが事実であることを知るために、色々な社会へ送られるが、その時、悪は善であり、善は悪であるという単なる理論とそこから生まれてくる信念とによって、凡ゆる種類の悪へ迷い込むままになり、凡ゆる方面でそのように説きつけられ、風の前の籾殻のように吹きまくられて行くのである。なぜなら彼らは原理を持っておらず、また天使たちに働き掛けられて、自分が悪から引き出される面を持っていないからである。