善い方はおひとりである

マタイ19・17

 

1.聖書

2.スウェーデンボルグ

3.マリア・ワルトルタ

4.ルイザ・ピッカレータ

 

1.聖書

 

マタイ19・16−19

 

 さて、一人の男がイエスに近寄って来て言った。「先生、永遠の命を得るには、どんな善いことをすればよいのでしょうか。」イエスは言われた。「なぜ、善いことについて、わたしに尋ねるのか。善い方はおひとりである。もし命を得たいのなら、掟を守りなさい。」男が「どの掟ですか」と尋ねると、イエスは言われた。「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、父母を敬え、また、隣人を自分のように愛しなさい。』」

 

 

マルコ10・17−18

 

 イエスが旅に出ようとされると、ある人が走り寄って、ひざまずいて尋ねた。「善い先生、永遠の命を受け継ぐには、何をすればよいでしょうか。」イエスは言われた。「なぜ、わたしを『善い』と言うのか。神おひとりのほかに、善い者はだれもいない。『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証するな、奪い取るな、父母を敬え』という掟をあなたは知っているはずだ。」

 

 

ルカ18・18−20

 

 ある議員がイエスに、「善い先生、何をすれば永遠の命を受け継ぐことができるでしょうか」と尋ねた。

 イエスは言われた。「なぜ、わたしを『善い』と言うのか。神おひとりのほかに、善い者はだれもいない。『姦淫するな、殺すな、盗むな、偽証するな、父母を敬え』という掟をあなたは知っているはずだ。」

 

 

ルカ23・39−40

 

すると、もう一人の方がたしなめた。「お前は神をも恐れないのか、同じ刑罰を受けているのに。我々は、自分のやったことの報いを受けているのだから、当然だ。しかし、この方は何も悪いことをしていない。」

 

 

ルカ23・47

 

百人隊長はこの出来事を見て、「本当にこの人は正しい人だった」と言って、神を賛美した。

 

 

2.スウェーデンボルグ

 

天界の秘義10619

 

「善良さと真に大いなる。」これは主は善それ自身と真理それ自身であられることを意味していることは以下の事実から明白である、すなわち、神的なものは無限なものであり、無限なものについては、それはそれ自身である、またはそれは存在している、かくて善そのものである、それは善そのものであるためまた真理そのものである、なぜなら真理はことごとく善に属しているからである、としか言うことはできないのである。しかしこのそれ自身は文字の意義では『善良さとまことにおいて大いなる』により表現され、かくて人間における限定された[有限な]認識のために、限定的に表現されているのである。神的なものは善そのものであられることはマタイ伝に明白である―

 

 イエスはその若者に言われた、なぜあなたはわたしを善いと言いますか。一人の方、神以外には善い者は一人もいません(19・17)。

 

このことにより主のみが善であられ、かくて善それ自身であられることが意味されているのである。主は真理そのものであられることはヨハネ伝に明白である―

 

 イエスは言われた、わたしは道であり、真理であり、生命である(14・6)。

 

 

3.マリア・ワルトルタ

 

マリア・ワルトルタ/受難の前日/P108

 

その中から一人の若者が、乗って来たらくだをひざまずかせて滑り降り、イエズスの方に近づく。乗って来たらくだは、すぐ下男が手綱を取り、その場に立ち止って待つ。若者はイエズスの前にひれ伏してから、こう言う。

「私は本当のイスラエル人の子で、今もそうです。カーナタのフィリッポと言います。ガマリエルに師事していましたが、父が亡くなった時、家の商売のあとを継ぎました。あなたの話も何度か聞きましたし、行われた色々なことも知っています。あなたは、主を求める人に永遠の生命を保証しておられますが、私はその永遠の生命に入るためのより完全な生き方に憧れています。そこでお尋ねいたします。善い先生、教えてください。私は、永遠の生命を受けるために、何をすればよろしいのでしょうか?」

「なぜ、私のことを“善い”と言うのですか? 善いお方は神だけであるのに」

「あなたは、御父と同じように“善い”方、神の御子である。どうぞ教えてください。私はどうすればよろしいのでしょうか?」

「永遠の生命を受けるためには、十戒を守りなさい」

 

 

4.ルイザ・ピッカレータ

 

ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/2巻P157

 

このようにいろいろとグチを言っていると、やっとたったひとりの善い人がやってきた。

 

 

ルイザ・ピッカレータ/被造界の中の神の王国/2巻P160

 

「ああ主よ、いったいどうしてそんなことができるの。不可能だわ。あなたの似姿である人間をあなたが罰するなんて、私には我慢できないの。ああ、せめてあなたに属する人びとでなければよいのに。こんなことは序の口。もっともっと悲しいのは、あなた自身が打ちくだから、苦悩に喘ぐのを目にすること。なぜなら罰は別のものでなく、あなたの体の上に降りかかり、あなたが苦しむから。言って。私のたったひとりの善い人。自分で自分を打って苦しむあなたを見て、どうして私の心が耐えられるの。人間を懲らしめるならまだしも、そればからはひどすぎて飲めません。とてもそうしていいなんて言えない。」