マルタ、マルタ、あなたは多くのことを思い悩み、

心を乱している(ルカ10・41)

 

1.聖書より

2.スウェーデンボルグ

3.マリア・ワルトルタ

4.ヴァッスーラ

 

 

 

 

1.聖書より

ルカ10・38−42

一行が歩いて行くうち、イエスはある村にお入りになった。すると、マルタという女が、イエスを家に迎え入れた。彼女にはマリアという姉妹がいた。マリアは主の足もとに座って、その話に聞き入っていた。マルタは、いろいろのもてなしのためせわしく立ち働いていたが、そばに近寄って言った。

 

「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください。」主はお答えになった。

 

「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」

 

 

2.スウェーデンボルグ

途方もなく家事に心を砕いている者たちについて

 

霊界日記1573

わたしは左足の下のやや前面に非常に低い一種の小さな住居を見たが、その中には一つの大きな室があり、勝手道具を備えつけられていたが、しかしその道具は見なかった。その室は普通の作りに従って、長いホールへ通じ、そのホールを背の低い、ぶかっこうな一人の女が通って行った。

 

同1574

 

わたしはこうした事柄の意味をたずねると、身体の生命の中で極端に家事に心を砕いた者たちはこうした種類の住居に住み、依然その日頃の家事のことで忙殺されている、と答えられた。また、かれらの大半は低い階級の人間から来ていて、しばしば、老婦人から成っており、この婦人連は、こうした家事のことにかかわりはもってはいないものの、それでもそうした事を買って出て、マルタのように、信仰にかかわりをもっているような、さらに善い事柄をなおざりにしているのである。

 

 

同1574イ

 

かれらは低い所にいるため小さく見え、不かっこうな形をとって現れているが、それはそうした家事の心配ごとから生まれてくるのである。

 

 

3.マリア・ワルトルタ

 

マリア・ワルトルタ/マグダラのマリア/P269

 

忙しそうに息をはずませながらマルタがやってくる。

 

「まだここにいるの、マリア。私は、いろいろの準備で忙しい。時間が過ぎて招待客が、もうじき来られるのにするべきことがまだまだ山ほど残っています。女中たちはパンを作り、僕たちは肉を焼いている。私は食卓と食器、飲み物を準備しているが、まだ果物をもいで来るとハッカと蜜の水を作らなくては・・・」

 

妹は姉の言葉を聞いているのかいないのか? 自分の姿勢をちっとも変えないで、幸せそうなほほえみを浮かべてイエズスを眺め続けている。

マルタはイエズスの助けを請う。

 

「先生、このとおり私は暑くて汗だくです。家事のことを私だけに押しつけるのをよいとお思いですか。私に手伝うように、あなたからもおっしゃってください」

 

マルタは本当にいらいらしている。

 

イエズスは、彼女を、半分やさしく半分皮肉めいて、むしろからかうようなほほえみで見ている。

マルタは、なおさら平静を失う。

 

「先生、私は真剣に言っていますよ!私は一生懸命で働いているのに彼女をごらんください。時間をむだに費やしています。見ているのに・・・」

 

イエズスの方は、もうちょっとまじめになる。

 

「マルタ、マルタ。それは時間を費やすということではない。それは愛である。怠惰、ひまつぶしは、前の生活だった。そしてあなたは、彼女のよくない、ひまつぶしのためによく泣いたではないか。あなたのその涙は、彼女を救って、あなたの正しい愛情に報いるために私の干渉を早めた。彼女が自分の救い主を愛していることについて文句を言いたいのですか。彼女がここから遠く離れて、あなたの忙しさを見ないだけでなく、私からも遠ざかっているのを望みたいのですか。

 

マルタ、マルタ! この人は(そしてイエズスは彼女の頭の上に手を置く)遠くから来て、愛においてあなたを超えた、と言うべきでしょうか? 善について一ことも知っていなかったこの人は、今は愛について知識深くなった、と言うべきでしょうか。この人を平和の中にそのままほうっておきなさい。非常に長く病気だったが、今は回復中で、心を強める飲み物を飲んで治りつつあるのです。今まで非常に苦しんだ・・・。

 

今、悪夢から脱出して自分の回り、また自分の中をみて“新しい”世界を発見しつつある。これはすべて確かです、と感じるようにしなさい。この自分の“新しさ”をもって過去を忘れ、永遠のいのちを取得すべきです。これは、働きをもっただけで得られるものではなく、礼拝をもって得られるものである。

 

 使徒と預言者とにパン一つを与えた人は報いを得る。しかし私を愛するために、食事さえも忘れる人は、二重の報いを受けるでしょう。なぜなら、その心は肉体よりも大きい。人間の正しい望みにまさる強い“望み”をもっているからです。あなたはあまり多くのことのためにいろいろ忙しくなっている。マルタ、この人は一つのことだけを心にかけているのです。これは彼女の心にとって、何よりも自分の、また、あなたの主にとって大事なものです。むだなことをほうっておいて、あなたの妹に倣いなさい。マリアは、自分から、もうとり除かれることのない、よりよい方を選んだ。

 

すべての徳は、み国の市民たちにもはや必要ではなくなる時に、すべての徳が過ぎ去る時に、唯一のものとして愛が残る。これは、いつまでも残る。唯一のもの、そのすべてを超えるもの。この人マリアはこれを選び、これを自分の盾と杖としてとった。これをもって天使の翼に乗ったかのように私の天に来るであろう」

 

 マルタは気勢をそがれて、頭を垂れて行ってしまう。

 

「私の姉は、あなたを非常に愛し、あなたを歓迎するためにいろいろ気を使っています」とマリアは、彼女をとりなそうとして言う。

 

「分かっている。そして、それだけの報いを受けるでしょう。しかし、この水が清められたように、自分の人間的な考え方も清められる必要がある。ごらん、私たちが話している間、水がまた何と清くなったか。マルタは、今、私がいった言葉によって、その人間的考えから清められるでしょう。あなたは・・・あなたの後悔の真実さによって・・・」

 

「いいえ、先生、あなたのゆるしによって。私の大きな罪を洗うには、私の後悔だけでは足りません・・・」

 

「いいえ、足りました。そしてまた、あなたに倣うであろうあなたのすべての姉妹たちにも足りるでしょう。すべてのあわれな心の病人たちにとって、真実の後悔は心を清めるフィルターです。それに愛は、すべての新たな汚れから心を守るものです。そのために、毎日の生活によって大人となり、罪びととなるすべての人々はこれによって、また幼児のような清さに戻り、そして幼児のように私の国に入れるでしょう。さあ、もう家に入りましょう。マルタがその悲しみにあまり長くとどまらないように。彼女に友人と妹のわれらのほほえみを持って行こう」

 

 

 

マリア・ワルトルタ/マグダラのマリア/P362

 

「私の師よ! 私はもはや、いつでも希望し信じます。私は、もう疑うことはありますまい。主よ、決して。私は信仰で生きるものとなりました。あなたは私に信じられないことを信じるという能力をくださいました」

 

「そして、あなたマルタは? あなたも習いましたか? ・・・いいえ、まだ・・・あなたは私のマルタである。しかし、まだ私の完全な礼拝者ではない。あなたは、なぜ、いろいろ活動し、観想をしないのか?それはもっと聖なることです。ごらん、あなたの力が地上のことにあまり向いているがために、時として直しもつかないとみえるこの世のことは、神ご自身が干渉されないならば、癒しようのないものです。そのために人間が信ずる、また観想する必要があるのです。考え、心、肉体、血、という全人間のすべての力をもって徹底的に最後まで愛することです。くり返していうが、“人間のすべての力をもって”。

 

マルタ、私はあなたが強いものであってほしい。完全なものであってほしい。あなたが服従するのを知らなかったのは、全く信ずる、また希望するのを知らなかったからです。しかし私はそのことであなたをとがめるのではない。マルタ、私はあなたをゆるします。今日、私はラザロをよみがえらせた。今、あなたにもっと強い心を与える。彼には命を返した。あなたには、完全に愛し、希望し、信ずるという力を注ぐ。今から、あなたたち三人は、幸せで平和でありますように。この日々にあなたたちを侮辱した人たちをゆるしなさい」

 

 

 

4.ヴァッスーラ

 

ヴァッスーラ/神のうちの真のいのち/6巻P154

‘92・10・9

 

主よ?

 

私です。 そう、打ち明けなさい 私に話しかけて心を軽くしなさい。 聴いている。

 

この仕方であなたのもとを訪ねるのを、あの修道士はどうして止めようとするのでしょうか? 私はこうしてご一緒なのが嬉しいのです。あなたと私だけで。主が私に下さいました贈物ですし・・・

 

そう、これはあなたへの恵み そしてあなたは皆への恵みです。 私はかつてマルタに言ったことがある: 「マルタ! あなたは多くのことにこころ配り、思い煩っているが、必要なことは、ただ一つだけである。マリアは、その良いほうを選んだ。それを彼女から取り上げてはならない。」そこで、あなたが今のように、私の足元に来て、声を聴き、書き取って、いつまでも一緒にいるのを 禁じにやって来る誰にたいしてもこう言っておく: 「私には不要な多くのことに あなたはこころ配り、思い煩っている! 実に、今日は

        心と心を通わせた会話、

        私の足元で礼拝のうちに捧げる 絶え間ない祈り、

私の心に あなたの心を一致させなさい。 これこそが良いほうです・・・」そしてあなたは、我が娘よ、歓びなさい! この恵みを無償で与えた。 あなたから取り上げることはない ♡

 

 

ヴァッスーラ/神のうちの真のいのち/9巻P187

‘98・8・12

 

   ・・そしてあなたは、我がヴァッスーラ、言っておく:時宜にかなった折に彼らのもとに送って あなたは自らを現そう。これであなたを放免する、我が悦びよ、他の用事にも専念できるように。(*)

   もちろん家事のこと。

 

マルタではなくマリアのようならよかったのに。

み前にすわらせていただくのは幸せです、崇むべきお方よ、

あなたの現存をたのしみ、祝えて。

 

文句をいわずに、ヴァッスーラ、私のうちで楽しみなさい。