黒住宗忠
1780〜1850
原敬吾/黒住宗忠/吉川弘文館P28
天てらす神の御心人心(みこころひとごころ)一つになれば生きとふしなり (第四歌)
原敬吾/黒住宗忠/吉川弘文館P29
書簡112
毎度申上候通り、まことに道は生きとうしにて、みな心からいきさえ仕り候えば限りは御坐なく候。しかし其処を教え候えども、よう生きぬ人は親子兄弟なりとも致し方御坐なく候。願わくは生きとうしの処をお勤め下させらるべく候。いよいよ以て日神御一体に相違御坐なく候まま
限りなき天照神と我が心
へだてなければ生きとふしなり
ただ心陽気に相成り、邪陰をはなれ長寿を御たもち下させらるべく候。
書簡113
道を離れさえ仕らず候わば、まことにまことに生き通しに御坐候。その道は、御承知なされ候事ながら則ち天照皇大神なり。・・・時に一首
あまてらす神の御徳を知る人は
月日とともに生きとふしなり
書簡13
日神と我が心とを一つにして少しも外なしにいたし候時、間違いなしに皮やぶれ元の人となるなり。
原敬吾/黒住宗忠/吉川弘文館P32
逸話106
或る月の定会に武内来蔵が参詣したところ、どういうわけか他に参詣者がなくて宗忠と二人きりになったので、武内が前講をつとめた。さて宗忠自身の講釈が終ったあとで、武内が、「今夕は先生の御講釈を私一人で聴聞致しまして、これほど有り難いことは御座いません。」と得意気に言うと、宗忠は容(かたち)を正して、「来蔵さん、あなた御一人と思いなさるか。天照大神の御講釈には、かたじけなくも八百万の神々様が御集い遊ばしますぞ。」と言ってたしなめた。これをきいた武内は、冷水を浴びせられたように感じて、その場に平伏してしまった。