開墾

 

 

 

天界の秘義653

 

 実情は以下のごとくである、人間は改良されつつある時には―それは争闘と試練とにより遂行されるのであるが―彼の知識と理性の幾多の物以外には何物をも刺激しない底の悪い霊らが彼と交わり、欲念を刺激する霊らは全く彼から遠ざけられている。なぜなら悪霊らには二種類あり、一は人間の推理[色々と推理すること]に働きかけ、他は人間の欲念に働きかけるからである。人間の推理を刺激する悪霊らはその者の凡ゆる誤謬を持ち出し、それらが真であると彼に説きつけようと努力し、真理を誤謬に変えさえもするのである。人間は試練に置かれた時は是らと戦わねばならない、しかしその人間に接合している天使たちを通して、戦われるのは実に主である。誤謬がこれらの争闘によって分離され、謂わば散らされるや否や、その人間は信仰の諸真理を受け入れる備えがなったのである。なぜなら誤謬が支配している限り、誤謬のために妨害されて、人間は決して信仰の諸真理を受けることが出来ないからである。信仰の諸真理を受ける備えがなると、その時始めて彼の中に仁慈の種子である天的な種子が植え付けられることが出来るのである。仁慈の種子は誤謬が支配している土地には決して植え付けられることは出来ないのであり、ただ真理の支配しているところにのみ植えつけられることが出来るのである。