ハルマゲドン
真の基督教113(4)
「彼らはアルマゲドン(黙示録16・16)と呼ばれている所から来ております。そこに数千の者が集まり、新しいエルサレムと呼ばれる主の新しい教会に属する者たちと戦おうとしております。彼らはそこで教会と宗教とについて語っていましたが、然し彼らは何ら霊的な真理を持っていなかった為に、その中には些かの教会もなく、また何ら霊的な善を持っていなかった為に、些かの宗教もありませんでした。彼らは権力を得る目的のためにこの主題に固執しました。彼らはその青年時代に只信仰のみの教義を確実にすることと、神に関して僅かのことを確実にすることを学びましたが、教会の高い地位に進んだ後は、間もなくその事柄を忘れてしまいました。彼らは最早神と天界について考えず、只単に、自己と世についてのみ考え始めた為に、最早永遠の祝福と幸福について考えず、只単に一時的の名声と富についてのみ考え始めた為に、その青年時代に受け入れた教義を、天と交わる故に天の光の中にある彼らの合理的な心の内部から、世と交わる故に世の光の中に在るその合理的な心の外部へ追いやり、遂にはその教義を感覚の領域へ移してしまいました。それ故、教会の教義は単に言葉の事柄となり、最早合理的な思考の事柄ではなく、まして愛から発する情の事柄ではなくなってしまいました。而して彼らは自らをこのような状態に引き下げてしまった為、教会の神的な真理と、また宗教の真の善の如何なるものをも容認しません。彼らの内部は鉄屑と硫黄の混ぜ物が一杯つまった瓶のようなものになり、その上に若し水が注がれると、先ず熱が生じ、次に火が発し、こうして瓶は砕け散ってしまうのです。それで、彼らは聖言の純粋な真理である生ける水について何かを耳にし、それが彼らの耳に入って行くと、彼らは激しく興奮し、燃え、それを自分の頭を破裂させるものとして斥けるのです。これらの者は、貴方には猿のように見え、赤馬と黒馬に乗り、頸の回りに手綱をつけ、身体を反対側に向けていた者であります。何故なら、聖言から来る教会の真理と善を愛しない者たちは、馬の前部を見ようとは些かも願わず、只その後部のみを見ようと願うからです。何故なら馬は聖言の理解を意味し、赤馬は善の方面が破壊されている聖言の理解を意味し、黒馬は真理の方面が破壊されている聖言の理解を意味するからです。彼らが白馬に跨っている者たちに挑戦する理由は、白馬は聖言の真理と善とを理解することを意味しているということです。彼らは争いを恐れて、その馬を引き戻すように見えたのは、聖言の真理がこのようにして多くの者に知られ、明るみに出されるのを恐れているからです。これがその解釈です」
天使たちは更に語った。 「我々はミカエルと呼ばれている天界の一社会に属しています。我々はアルマゲドン呼ばれている所へ降ることを、主によって命ぜられました。貴方はそこからかの騎馬兵の一隊が出て来るのを見られました。我々天界に在る者に対しては、アルマゲドンは虚偽化された真理の影響の下に、宇宙的な権力と支配とを求める愛から生ずる所の、戦いを交えようと欲する心の状態と欲望とを意味します。
(中略)
彼らは家の屋根の下の窓越しに、そこを見たことがあり、また、其処に、時には権威のある人のようにも見えるが、時には人間のようには見えないで、膝をかがめた群衆に取り囲まれている、像や彫像のように見える人々の大きな集まりを見たことがあると、答えました、これらの者は私たちにもまた色々な形に、ある者は人間のような、ある者は豹(ひょう)のような、ある者は角を突き出して地面を掘っている山羊(やぎ)のような形に見えました。私たちは彼らにこの変化を説明し、それによって誰が表されているか、何を彼らは意味しているかを示しました。