アベル
1.仁慈
1.仁慈
天界の秘義351
『アベル』が仁慈を意味することは前に示した。仁慈により隣人への愛と慈悲とが意味されている。なぜなら自分のように隣人を愛する者はその者に対しその苦しんでいる際自分に対するように憐れみをまた持つからである。
カインとアベル
黙示録講解427イ
アベル・・・仁慈の善
カイン・・・信仰の真理
『エホバはカインの上に、かれが殺されてしまわないように、ある印をつけられた』
エホバはかれを他の者らから区別されて保持されたことを意味しているのは、救う信仰は歴史的な信仰が先行しない限り与えられることはできないためであり、そのこと[歴史的な信仰]は他の者たちから教会と天界との事柄を知ることであり、約言すると、それは信仰を後になって構成するような事柄にかかわる知識である、なぜなら人間は幼時から聖言から、または教会の教義から、または説教から真理を吸引しないかぎり、かれは空虚なものとなってしまい、空虚な人間の中へはいかような働きかけも行われることはできず、主から天界を経ていかような流入も注がれることはできないからである、なぜなら主は人間のもとに在る真理の中へ善を通して働きかけ、流れ入られ、真理と善とを連結され、かくて仁慈と信仰とを一つのものとされるからである。
このことから『エホバはカインの上に、たれもかれを殺さないように、またたれであれかれを殺す者はことごとく七倍の復しゅうを受けなくてはならない』の意義を認めることができよう。さらに、単なる歴史的な信仰の中にいる者らは、すなわち、信仰を構成しているような事柄にかかわる知識の中にいる者らは―かれらは『カイン』により意味されている人物または信仰であるが―これらの者はまた聖言から真理を他の者たちに教えるために―そのことをかれらは記憶から行うのであるが―保持されるのである。