| レイブンルフトの野望 |
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| ここはレイブンルフト城。吸血鬼の王、そしてクライヴの父親、いや仇の男が住んで |
| いる場所。沈黙が城を包んでいる。 |
| 「出、出来たぞ!!これで、全ては私のものに!!」 |
| 闇を裂くような男の声がその静けさを破った。その声は城の中にある「レイブンルフ |
| トの秘密のお部屋※何人たりとも入ること無かれ。入ったら殺す。」と書かれてある |
| 札の下がってる部屋からだった。レイブンルフトの使いである吸血鬼ブラスが何処か |
| らとも無く走ってきて秘密のお部屋のドアを勢いよく開けた。 |
| 「ど、どうしたのですか、王!!」 |
| ドアの向こうにはなんと髪を束ね、眼鏡をかけた白衣姿のレイブンルフトがいた。 |
| 「ブラス、聞くのだ。やっと完成したぞ。これこそ我が一族に伝わる伝説の惚れ薬 |
| 『スキスキスキール』だ。」 |
| 小さな瓶に入った赤い薬をブラスの目の前に突き出し、腰に手を当て高々に笑っ |
| ている。 |
| 「私は神だ。私の手にかかれば不可能と言う文字はない。」 |
| 本人はいたって真剣なのだが・・・、何処からどう見ても自分の世界に入ってしまっ |
| ている男にしか見えない。そんな王を見て、 |
| 「・・・・なげかわしや、王。頭でも打たれおかしくなってしまったようですね。」 |
| と、ブラスはボロボロと涙を流した。事の発端は一ヶ月前のことだ。話せば長くなる |
| のだが、早く言えばレイブンルフトが始めてクライヴに会ったとき、彼に付いて来て |
| いた天使、そうラビエルに彼が一目惚れしてしまったのだった。 |
| 「嗚呼、愛しのラビエル。君のことを思うと私の胸は張裂けそうだよ。君無しでは生 |
| きていけない。I LOVE MY ANGEL。ラビエル。」 |
| 「王〜。(号泣)」 |
| 薬を手にし喜びの踊りを踊るレイブンルフトにその王を見て嘆くブラス。この場にい |
| るのはこの2人だけではなかった。 |
| 「おい。お前たち、一体何をしているんだ。」 |
| ドアの入り口から若い男の声がし、 |
| 「お二人で何かの実験でもしてるのですか?」 |
| と、女の声も聞こえてきた。そう、その声の持ち主はもちろんクライヴとラビエルだ。 |
| 「おぉ、我が愛しのラビエル。会いにきてくれたのだな。君から来てくれるなんて私 |
| はなんて幸せものなのだろう。」 |
| と、ラビエルに抱きつこうとするのを、クライヴはラビエルを片手で抱き寄せ、走っ |
| てくるレイブンルフトの腹部に強烈な蹴りを入れた。 |
| 「何を勘違いしている。お前の城が現れたと聞いたから二人で倒しに来たんだ。」 |
| 「息子よ・・・。今のは良い蹴りだった。・・・が、しかし、私はこの程度で倒れはせん |
| ぞ・・・。」 |
| と、言いながらも、かなりのダメージを受けているのか、口からはダラダラと血が流 |
| れ出ている。 |
| 「まぁ、大丈夫ですか?血が大分出ているようですが・・・。」 |
| 「ラビエル、何と優しい。でも、心配御無用。この位の傷なんともないのだよ。」 |
| と、今度はどさくさにまぎれて、クライヴの腕から離れたラビエルの手を両手で握り |
| しめている。 |
| 「あのこの手は・・・。」 |
| 「気にしないでくれ単なるスキンシップだよ。なんて君はうつ」 |
| レイブンルフトが「なんと君は美しい。」といい終わる前にクライヴが、レイブンル |
| フトの頭目掛けて今度は強烈なかかと落としを決めた。又もやダメージを受けたレ |
| イブンルフト。今度は大量の鼻血を出している。 |
| 「息子よ。今のは流石に効いたぞ。段々意識が遠のいて行くぞ・・・。」 |
| ラビエルをレイブンルフトから離し、腕の中に抱き、 |
| 「・・・そのまま死ね。」 |
| と、言い残しラビエルを連れ、部屋から出て行った。一体何をしに来たのか・・・。 |
| 「・・・・ハッ、しまった。作った惚れ薬を飲ませるいい機会だったのだが・・・。 |
| あっー!!」 |
| さっきまで手に持っていたはずの薬がない。いやな予感がレイブンルフトの脳裏に |
| 走った。恐る恐る後ろを振り返ると、頭から惚れ薬がかかってしまったブラスが異様 |
| な目つきで彼を見つめている。 |
| (し、しまった。) |
| どうやらラビエルに抱きつこうとした時後ろに投げ捨ててしまっていたらしい。運悪 |
| くそこにブラスがいたのだ。頬を赤らめながら、ゆっくりと自分に近寄って来るブラス。 |
| 「王。私は貴方のことを・・・・。」 |
| レイブンルフトは恐怖のあまり腰を抜かしてしまっているが、それでも一生懸命逃れ |
| ようとしている。哀れな。 |
| 「こんな展開、嫌だぁぁぁ―――!!」 |
| 彼の叫び声だけがむなしく城の中にこだまする。 |
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| 〜Fin〜 |
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| 「このまま終わるなー!!こんな展開私は認めんぞー!!ギャァァー!!」 |
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