わたしの出産

 5月6日の日記を見ると、朝、おしるしがきている。その後、ずっと時々の痛みで、7日のAM2時ごろから規則的と思われる10分間隔の陣痛開始。3時ごろ、病院に電話してそのまま夜中に入院した。このころの陣痛は、今考えるとなんてことない、生理痛みたいで、息がしづらいってくらいかな。

 その日、病院では休日なのにいっぱい赤ちゃんが生まれていたらしく、わたしが病院に着いたときも、看護婦さんたちはバタバタと走り回っていた。わたしは案内されたLDRの部屋に入り、緑の出産着に着替え、赤ちゃんの心音を聞く装置(ノンストレステスト・NST)をつけたまま、2時間くらい待った。その間、旦那さんも部屋の外で待ちぼうけ。「帰っていいよ」と言いたかった・・・看護婦さんの内診によると、子宮口2センチ。出産は多分まだまだかかるでしょう、とのこと。初産だしね。そのとき剃毛、朝5時くらいに4人部屋に移動する。看護婦さん「立ち会いますか?」旦那さん「今のところ、立ち会わない予定です・・・」そう、このときまでは立ち会わない予定だったのだ。わたしもそのつもりになってた。

 朝食はラウンジまで行って食べた。動いたほうがいいかららしい。時々おそってくる陣痛、周りは出産したお母さんたちばかり。「ああ、わたしもあのピンクの服(出産した人が着る服はピンクだったの)、着ることが出来るかしら?」と思ったね。あるお母さんから「がんばってね!」の励ましの言葉が。うん、がんばる!

 その後、部屋に戻り、ただひたすら陣痛に耐える。だいたい、10分間隔。陣痛の合間は特になんてことない。「フゥ〜」とため息ついてばっかり。夜中寝れなかったので、ついウトウト・・・すると陣痛が来て目覚める、の繰り返しだった。陣痛がきてるときは、鼻から息を吸って、口からゆっくりはく・・・・大学時代に合唱団に入っててよかったーと思ったよ。

 お昼の3時ごろ、面会時間になり、旦那さんと母が病室へやってきた。まだ10分間隔で余裕有り!そのとき取った写真がこれ。←「もー、撮らんでよー!」でも、まだ笑顔が出てるもんね。そして、旦那さん「立ち会うことにしたから」「えええーーー!!大丈夫?血、弱いんでしょ???」ということで、立ち会うらしい。なぜ、そういう気持ちになったのかは、今だ不明だ。わたしとしても、なんとなく立ち会ってもらいたいような、もらいたくないような・・・でも、旦那さんが決めたんなら、ま、いっか。ぐらいの気持ちで、立会いをオッケー。

 その後、夕方6時ごろまでかけて5,6分間隔。ナースステーションに言うと、そのままLDRの部屋へ移動→NSTをつける。このNSTは赤ちゃんの心音を聞けて嬉しいんだけど、同じ体勢でいないといけないから、けっこうきつい。途中から左のお腹を下にするかっこうに変えてもらう。ずっと上を向きっぱなしはきついもん。

 その後、先生の内診。このとき「じゃ、ちょっと赤ちゃんを刺激しますねー」と言ったかと思ったら、子宮口をグリグリグリーーって、手で刺激された。もう、これは叫ぶしかないよ、「うぎゃー、いたー、あああーーー!!」と叫ぶわたし。「大丈夫ですよー、お産の練習と思ってねー、はい、力入れないでー、足、開くよー」と冷静に言われつつ、しばし叫ぶ。あれはーたまらなく痛かったね。でも、おかげでいいおしるし(出血)が出るようになり、陣痛も間隔が短くなったみたいだった。しかし、痛かった・・・・

 夕食はそのまま、その部屋で取る。食べれないことはない、というか、食べて体力つけておかないとね。ご飯を半分残して、おかずは食べた(ような気がする)。もちろん、陣痛中は痛くて食べれないよ。休み休み、30分くらいかけて食べた。

 そして、PM9時まで一人で耐える。もちろん、6,7分おきに陣痛。時計の針があっという間に進むような、全然進まないような感じ。その間、他の部屋で赤ちゃんが2人、産まれたのが聞こえた。もちろん、お母さんのいきむ声、「ひっひっふー」の声、赤ちゃんが「オギャー!」と誕生する声、お母さんの喜びの声、など、ぜーんぶ聞こえていた。もう、感動しちゃって、泣きながら陣痛に耐えていた。「わたしもがんばろう!!」って勇気もわいたし、イメージトレーニングにもなったよ。初めてのお産でまったくわからなかったから、その意味では疑似体験したような感じ。いっぱい勇気ももらいました。

 そして、PM9時ごろ、旦那さんがLDRに入ってきた。緑の暑そうな手術着みたいなのを着て、頭にはなぜかピンクのヘアキャップ。痛みも忘れて、ちょっと笑っちゃったな。色、男性用だから青かなんかに変えればいいのに、なーんて思った。そのころ陣痛は4,5分感覚。子宮口は7センチ(え、まだ7センチ?!と思わずにはおられなかったよ)。痛みも腰あたりから腹部全体になっていたので、旦那さんが入ってきてくれたときは、とても心強かった。陣痛中は腰を押してもらうと、痛みがまぎれて楽だった。あれはかなり強く押してたんじゃないかな。それでも陣痛の痛みには全然勝てない。息も止まりそうだけど、赤ちゃんが苦しくなる!と思い、ゆっくり腹式呼吸。永遠とそれの繰り返し。

 だんだん間隔も短くなってきた。PM11時ごろ、その病院で一番良いLDRの部屋に移動。(移動って歩いてだよ、歩けるんかいな?!と思いつつも、がんばって5メートル隣の部屋へ歩く)そのとき、トイレもしたけど、一緒になにか出てきそうで、怖かったなぁ。この頃、陣痛は3分間隔。この頃から、陣痛の合間に手・足が震えだした。寒いって感じでブルブル震えるので、自分でも怖かった。助産師さんによると、そんなことも起こりますよ、と言われ、なんとなく安心。今思うと旦那さん、見てるの、怖かっただろうな。なんども手をさすってもらった。

 何時か忘れたけど、あまりにも震えるので、助産師さんを呼んで内診・・・・子宮口8センチ〜9センチになっていた。なんだか助産師さんが動き出したぞ、いろいろ運び入れて、「先生お願いしマース」って呼んでいる!もうすぐ、もうすぐだ!!もうすぐ赤ちゃんに会える!

 それから点滴。これがなかなか入らなかったんだよな。血管が自分でも見たことないくらい「キュー」って縮こまってて、4箇所くらい、看護婦さんがトライしてたけど、なかなか入らない。「こんなに血管が細い人も久しぶりだなー」なんて言われながら、助産師さんに交代、その人が3回目くらいで入れてくれた。それも陣痛がきてるときにするんだよね、痛みがまぎれて分からないように。後から見ると、腕は青染みだらけになっちゃったよ。

 そんなこんなで、点滴を入れた後は導尿。これをしたあと震えが止まる・・・もしや、おしっこがしたくて震えてたの?!まあ、いい。震えは止まった。あとはいきみに入る。

 わたしは「ひっひっふー」は、「ひっひ」で吸って、「ふー」ではくのかと思っていたけど、実は全部はくんだった。「ひ」と「ひ」の間で息を吸う。声が1オクターブ高くなってるんじゃ?と思うほど、苦しい、痛い、はやくいきみたい!でも、まだいきんでも出てこないから、我慢!その繰り返しを何分したのかな、覚えてないけど、30分くらい、ひっひっふーしてたとおもう。旦那さんも手を握って、リズムをとってくれる。

 「いきみたいですかー?」の問いに「はいっ!」。「じゃー深呼吸を2回して、いきんでください」「スーハースーハー、んんんん!!」また、これの繰り返し。わたしは記憶になかったんだけど、実は1時間以上、いきんでいたらしい。うそ、わたしの母なんて、3回いきんだら出たって言ってたのに。友達は10分で出てきたって言ってたのに!何度もいきむ中で「みんなのうそつきー」と思いながら、何度もいきんだ。顔に力が入って、目が飛び出そう。鼻の辺りに血が集まってくる感じ。頭の血管がどうかなるんじゃないかと思った。まさしく命がけ。いきみといきみの間、何度か気を失いかけたが、「おい、しっかり息して!腹に空気入れて!」と旦那さん。あ、そうか、まだ赤ちゃん、出てきてない、今死んだらだめだ、産んでから死のう。なんて思いながら、いきみを繰り返してた。

 いきみながら、赤ちゃんが降りてくるのが分かる。うん、降りてきてる、もう少し、もう少し・・・・

 そして、先生が「よし」と立ち上がり、「パチン」となんか切った音がした。痛みはない。
 「はっはっはの呼吸に切り替えて!」と言われ、「はっはっは・・(これは生まれる直前の呼吸!もうすぐ終わる!!)はっはっは・・・」・・・・助産師さん「ほら、下見てごらんー!」なんとなく見ると、先生が赤ちゃんの頭を持って、横にフリフリしている。出てきてた!

 「オギャー!オギャー!」

産まれたーーー!!高い声!きれいな声!みんなの安堵、旦那さんにも涙・・・
「ああー、産まれたーー!よかったーー!」(もう死んでもいいやー、と思う)
すっごい感動。今まで体験したことのないような充実感。達成感。

 助産師さんが、あかちゃんのほっぺとわたしのほっぺを合わせてくれる。あったかーい、やわらかーい!(ああ、やっぱり死ねない!!と思い直す) 8日のAM1:49。桜子ちゃんの誕生です。

 その後、すぐに麻酔の点滴を入れられ、「首の辺りが暖かくなってきますよー」、「あ、ほんとだー・・・」とそのまま麻酔におちた。

 1時間後、旦那さんの声で目覚める。ろれつの回らないわたしの口、なにか話したけど覚えてない。そのまま旦那さんはお家へ帰る。わたしはそのLDRの部屋で、朝の6時まで、ゆっくりと寝ていました。
 
 いつの間にか、ピンクの服になってて。部屋から病室へ移る朝の6時。麻酔の関係で、立ち上がった瞬間、目の前が真っ白になった。怖くて、でも手を引かれて歩く。LDRを出るときに、初めて桜子ちゃんを腕に抱かせてもらった。ちっちゃく、まっしろ、目がまだ開いてなくて、たよりげない。でもかわいい!!うーん、感動だったなー。

 こんな出産でした。何よりも旦那さんに立ち会ってもらって、励まされた。立ち会ってくれてありがとう。一緒にいきんでくれて、さすってくれて、何度かくじけそうになったとき、励ましてくれて。なんだか桜子ちゃんと3人でお産したような感じでした。あの感動は一生忘れないよ。

 そして、こんな大きな感動を味わえたのも、わたしを産んでくれた両親がいるから。わたしを産んでくれて、心からありがとう。

 何より、桜子ちゃん、なんてかわいいのでしょう!生まれて初めて触れたとき、あたたかーい、やわらかーいあなたに感動せざるをえませんでした。とっても軽くて、ちいさくて、眉毛が旦那さんにそっくりで!
 これからみんなで、楽しく生きていきましょうね!!


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