ちょっと辛口(undoubu)

シャキットせんかい
運動部員!

 どっかで大会か競技会があるのか、高校の運動部員(らしき)グループが、駅のロビーや通路で大きなスポーツバッグや道具をそこいらに放りだしてたむろしているのを見かけるが、たいていは通勤ラッシュの中を、みんな生活をかけて、急いで歩いたり駆け出したりしているのに、それをわざわざじゃまするかのように通り道をふさいでいる。 バッグを思い切り蹴飛ばしてやりたい衝動にかられているが、みんな自分を大人だと思って、ガキを相手にしてもしゃーないとキレる寸前でがまんしている人も多いのだ。 コーチや先生の社会生活の指導が悪いんだね。(というか自分でもまるでわかっていないんじゃないかな。) スポーツの技術と一緒に社会一般のエチケットもちゃんと教えてやって欲しい。

 だいたい、スポーツをやる意義の一つは「人生というか社会生活の縮図」を擬似的に体験するということ。 つまり、努力すればその成果が出るということ、我慢しなけれならないことがあるということ、必ず勝ち負けがあるということ、勝負には負けても場合によっては他人にも自分にも感動があるということ、ルールに違反しなければ相手を思いっきりやっつけてもいいということ、でもフェアプレーが人間として大事なこと、などなど。 人生を通じて長い時間をかけて体験することを短時間に経験できる。 しかも自分の人生は一つっきりないが、スポーツではいろいろなケースを体験できる。 そして、もう一つの大きな目的、自分の肉体と精神を鍛えるということなのだ。

 あそこいらにたむろしている運動部員のグループは、学校を代表する選手であることが多いというわけになるが。 それが、周りの状況からみて自分達のいる状態がどうなっているのか、まるでわかっていないばかりか、まるでもう試合が終わったあとみたいに朝っぱらからへたり込んだようにジベタリアンやってるのはどういうわけだい。

 で、その運動部員達に一言いいたい。

 スポーツやって身体を鍛えているんだったら、試合前くらいシャキッとして立っていろ! どうしても立っていられないようだったら、基礎体力としての背筋力がまるでできていないということだから、コーチか監督に相談して練習方法を根本的に見直した方がいい。 今のまんま続けてもなんの意味もない、まるっきりムダだ。 自分のやっている種目の技術だけを練習してもうまくならない。 逆に基礎体力もないくせして、難しいワザを身につけようとすると大けがをするかギックリ腰になるのが関の山だ。
 それに、周りの情況が一目で把握できないようなやつが、団体競技でも個人競技でもいいプレーができるわけがない。

 安室が親の負担を子供心にもできるだけ軽くしようと、バス代を節約するためレッスンに歩いて通ったという美談もあるが、知らず知らずに強靱な基礎体力がついていたのだ。 だからどんなに厳しいレッスンにも耐えて成功できた。 反面、この間のテレビでは、子供のくせに大人顔負けの腰痛になったのをやっていた。 結局はまるで歩かない生活をしているので背筋力が弱く、バレーのレッスンで背骨がずれるのを正常に保持できないということらしい。 世の中にはいい事例も悪い事例もいっぱいあるじゃねーか。 どこに目を付けてテレビを見てんだい!

 作戦として、試合前に体力を消耗しないように座っているのだったら、持ち物はじゃまにならないところに、こぎれいに積み上げて、自分達も通行のじゃまをしないところに、新聞かなにかケツの下に敷いておとなしく座っていろ。 少しは頭を使え!
 こんなこといちいちいわれなくてもスポーツマンらしくビシッときめて欲しいのだが、無理なんだろうか?

 かなり前だが、JRの京浜東北線だったか山手線だったかに東京駅から乗ってきた、どこか地方の女子高の剣道部らしきグループを見たことがあるが、実にマナーがよかった。 そんなに空いている電車でもなかったが、自分達の防具の入った大きな持ち物を他の乗客のじゃまにならないところにきちんと整頓して置き、自分達も自然体でスッと立ち、小さな声で話をしながら、それでいて楽しそうにしていた。 引率の先生の指示も一度ですっと伝わり、実に見事に統率された行動だった。 きっと試合にも強いのではないかと思えた。 こんな姿を見ると実に気持ちがいい。 思わずどこから来たのだろうと興味がわく。 応援に行きたくなるくらいのもんだ。

 とにかく「シャキッとせんかい、運動部員!」

  おや、部屋の出口にきたじゃねーか! 元気のいい若いのをさがしに行こう。 ぶつぶつ!(小言幸兵衛)


(27, Oct. 2000 記)


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