「住基ネット」に思う

「セキュリティは万全だ!」などとぬかしおって、ふたを開けてみたらチョンボばっかりじゃねーか。

で、今ごろになって「人間がやることだから、このくらいは当たり前だ」だと!

中央の総務省には責任がなくて、悪いのは地方自治体だといわんばかりのコメントをしているが、ちょっと待ってくれ。全国民の貴重な個人データを扱うのに、責任のなすり合いは許されないのだ。

一番頼りなさそーで、コンピュータのことがなんにもわかっていないような顔をした担当大臣がいくらがんばって念を押しても、力を入れれば入れるほど信用できなくなっていくのだが、全然わかっていないようだな。

はっきり言って、それをテレビを見ている一般国民の直観の方が数倍正しいようだ。

間違いを犯すはずの、人間が考え、人間が作ったハードウエアにソフトウエアを組み込んでシステム構築し、ずっこけた人間が扱ったらどうなるか?結果は火を見るより明らかだ。

明治維新以来、日本の官庁は「お役所仕事」と揶揄されるくらい、融通が利かないけど手堅く正確だった。外国から「日本の官吏は武士がやっている」といわれ、給料が安くても忠誠心が強く潔癖で、人格のしっかりした者が多く、羨ましがられていたのだ。(もちろん例外はいつの世にもある。問題は割合。)今と違って、内部告発をしなくても組織はクリーンな状態に保たれていたのだ。

最近それがどうも違ってきたなと感じられるようになったな。(ワイロを出さないと何にもしてもらえない、どっかのおかしな国ほどレベルダウンはしていないが)戦後の教育制度のせいで若い連中が勉強していないし(むしろ、大人がよってたかって「いかに勉強させないか」を考えているように思える。なのに文部科学省は「学力低下はみられない」などとのんきにかまえているが・・・)、自分のやっている仕事をほんとうにわかっていない連中がやっているのだから、仕方のないことかもしれないな。残念ながら!?

じゃ、その危ない「住基ネット」を(セキュリティはベストをつくしてもらうとして)、それなりに国民の役に立つものにするにはどうするか?

最低限、次の3つはやってもらいたい。

まず、@だれが何の目的で個人データを参照したか、本人にわかるようにする。
次に、A区役所で住所変更を手続きしたら、運転免許、健康保健証、郵便物の自動転送と差出人への連絡、株券・登記書類、などなど、本人が一々やらなくてもいいように能率化する。つまり、住民票添付の代わりに番号を書く程度の簡素化ではなく、手続きそのものを省略してほしい。ただしその場合も、何と何が処理されたか本人にわかるように。
とくにB法律で住居表示が変わったときなど、上記Aと同じく、国民側にまったく負担がかからないように処理して欲しい。無用なDMまで正しい住所に転送してくれとはいわないが、何年も前に法で一方的に変わった住居表示のため、有形無形の負担を強いられているのは国民側だ。

しかし、情報は漏れるだろうな!すぐに街の「名簿屋」に、いろんなリストがごろごろするようになるだろう。

ご丁寧に「若い娘」のリストとか、目的別にソーティングして持ち込むヤツも出てくるぞ。その方が高く売れるもんな!全国どこからでもアクセスできるんじゃ、やるヤツにとっちゃーたまらんぜ!実においしい話だ。

世界中のハッカーが直接アクセスしてくるかもしれねーし、一度外のネットにリストが漏れてしまうと、インターネット経由で(ちょっと金を出せば)いつでも見られるようになるだろう。(しばらくしたら、自分の名前を入れて検索してみるか。クレジットカードのロゴでも出てきたら、ほんとにやばいぜ!)

人間の作ったセキュリティなんか、必ず誰かがぶっこわすもんだ。万全とか、完璧だとかいえるものはない。

定年を迎えるにあたって社会保険事務所に出かけた時 、自分が40年近くも前、サラリーマンになって以来の勤務先・月収のデータが、完璧にデータベース化されていると知ってビックリしたもんだ。いつの間にやったのだろう。確かにどこの事務所や相談サービスセンターに行っても同じようなサービスが受けられて便利だと思ったが、これも考えようによってはすごく危険なデータだ。

法律には疎いし検証もしていないが、たぶん「社会保険法」改正とかで、何かと抱き合わせで法案が成立したのだろう。システム構築のため「族議員」が、コンピュータメーカなどの売り込みに奔走して予算の分捕りと、利権がらみの泥仕合をやったのだろう。

住基ネットも知らない間にかなり進行しているようだから、密かにシステム構築が進んでいたのだとわかる。地方自治体から個人データを送り込めば「番号」をつけて元のデータベースを更新できるようになっているのだろう。

とすれば、個人データは4項目だけだと中央はいっているが、地方側の全システムにその4項目以外のデータを出さないような防護策を付けない限り、その4項目のいずれかを「キーワード」にしていつでも地方のデータベースに侵入できるのではないかと思われる。


総務大臣殿、ほんとうにわかっているのですか?あなたはウソつかされているのですよ!


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(2002AUG)