ちょっと辛口(location)

時代考証を考証する!

 邦画の時代劇でも、ヨーロッパのローマ時代頃の洋画の時代劇でも似たり寄ったりのところがあるが、時代が古いからといって建物から城壁から石垣やなんかまで、みんな古くさいのは一体どういうわけだい!
 例えば、戦功があって秀吉から城を造ってよいといわれた武将がいたとすらァ。 そいつが造った城に馬に乗って見に来て、城門から中庭の方へ、へえって行くとき、石段に何年も前から生えているような、1年や2年ではそうはならないようなしっかり根を張った雑草がいっぱい生えているのはどうしてだい? 新しく造った城でなくても、石段に草なんか生えさせていたら庭番は殿さんから切腹させられるぞ!
 大体おかしいじゃねーか。 石垣にも苔なんか生えていて、まるで江戸時代からそこにあったみたいじゃねーか。
 また、年代物のお寺やお宮なんか、出来てから何百年もたっているのに、現役のものは苔は庭園デザインとして意識的にはやしているが、無精ひげみたいな雑草なんか一本もないぞ。 茶庭なんか、一見雑草のように見えても、計算し尽くされ丹誠込められた茶花が一本のムダもなく手間暇かけて管理されているのだ。

 新しいお城は新品でピカピカのはずだ。 同様にローマ時代には、今残っているローマ時代の遺跡は出来てからそんなに年月がたっていないか、造っている真っ最中だったのだ。
 (とはいっても、映画の舞台になった時代に、すでに何100年もたった建造物が残っていてもおかしくはない。 それがドラマの舞台になる時代のものではおかしいのだ。)
 映画やTVもコストとの戦いだから、ロケハンティングして“らしく”見えそうなところに決めたら、それを使わざるを得まい。 古めっかしいからといって、色を塗り変えたり、石垣の苔をひっぺがしたりする暇も金もないし、だいたい文化財保護だのなんだのといって許してはくれまい。

 それにしても、ちょっとすごいなと思えるのは、やっぱりハリウッドのスペクタクルだな。 だいたいからして金のかけ方がまるで違うみたいだな。 セットだってちゃんと造ってしまうし、最近ではCGという手もある。

 おれは考古学の専門家じゃないから偉そうなことはいえないが、ふと気になってしまった。 映画やTVドラマを作っている連中は本当にどこまでわかっているのかな、と。

 でも、一番笑ってしまうのは、チャンバラなんかやっている田んぼ道(昔の街道のつもりでロケハンしたところと思うが)にしっかり自動車のタイヤの轍(わだち)が出来ていたりして・・・。 登山なんかやっていて林道なんかよく歩く人にはすぐわかると思うが、道の真ん中に草の生えた帯が出来ているのをよく見る。 つまり、その道はほとんど車しか通らない道なのだ。 そんなところで果たし合いのチャンバラをやって、道の真ん中の盛り上がったところの草なんかに足なんかとられた日にはシャレにもならねー!

 こんなことを、近くのGALに話したら「細かいことを気にしすぎです。 あんまり新しくしたら“志村のバカ殿”のセットみたいになって貫禄がないでしょ!」ときびしいコメントが返ってきた。

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(2000DEC12)