ちょっと辛口(kasa)
傘の持ち方 教えます! |
人混みの中で傘を持ち歩くには昔からそれなりのエチケットがある。 江戸時代から「肩引き、傘倒し」といって、せまい露地などで人とすれ違うときには、おたがいに「肩を引く」、つまり進行方向に向けて自分の身体が細くなるように(腹が出っ張っていてかえって広くなるって!そんなときは腹をひっこめろ!でなきゃダイエットして出直してこい!)してすれ違う。 雨の日に傘をさしているときは、おたがい45度くらい反対側に倒して傘と傘が当たらないようにするもんだ。
こんなことは、ちょっと前の日本人なら見よう見まねで、だれに教わるともなくみんな自然にエチケットを身につけていたものだが、最近では、みんな傘をそのまんまにして(むしろ傘で人を押し分けるように)平気でぶつかってくる。 傘の骨が目にでも刺さったらどえらいことになると思うのだが・・・
たしかに、昔は蛇の目にしろ唐傘にしろペーパーでできていて破れやすかったのも事実。 だが、破れにくいからぶつかってもいいというのはちょっと違うぜ。 材料が頑丈になった分、場合によっては凶器にもなるということ。
で、傘の持ち方を教えてやろう!
@ 傘の先まで自分の身体の一部だと思って神経をピンと通わせろ。(柄の先、骨の先まで!)
A たたんだ傘の先は、ま下に向けて身体に近い位置に。(斜め下とか、前後に突き出すな!)
B ぬれた傘は小さく丸めて自分の身体の方へ引き寄せておけ。(人の衣服をぬらすな!)
C 柄を腕などにかけた状態でぶらぶらさせるな。(傘の先をしっかりコントロールしろ!)
D 電車やバスの座席に座ったときは、垂直にして持て。(通路の真ん中まで先を出すな!)
またまた、書き出すときりがないが、ほんとこんなの常識なんだよね。
だれでも、自分がイヤなことは人にしないように注意したり、うっかり迷惑をかけてしまったときは文句をいわれる前にまず謝ったものだが、最近はみんな謝ると損だと思ってるのかね。(医療ミスだとか、原発事故なんかは謝れば済むというレベルではないがね。 森総理の失言も含めて、もう一回生まれかわって勉強し直してこなきゃどうにもならないが・・・)
その内「あいつはどうして野球うまいんだ?」、「リトルリーグだったらしいよ!」というような会話と同じように「あいつ、どうして傘がうまくさせるんだ?」、「傘のさし方教室で習ったらしいよ!」という時代が来るんではないかと、ウーサブ!
なにしろ、そこいらを歩きまわりゃすむのに、わざわざフィットネスクラブで前に進まない自転車をこいだり、金のかかる道具を使って筋力トレーニングするのが当たり前みたいになっているしね。 ヤレヤレ!
われわれは直立歩行を身につけたことによって進化し文明を発達させてきた。(背骨が脳みそをつっついて適当に刺激したのと、頭蓋骨が風船みたいにうまくふくらんだんだ、じゃまものがなかったからね。) 他の生物にくらべてもそれこそあっという間のスピードだ。
傘も身体もシャキッと直立していて欲しいもの。
おや、部屋の出口にきた。 ここは小間の茶室ではないので、まっすぐ立って歩いて出られるよ。
(31, Oct. 2000 記)
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