第2話 屋根まで飛んで壊れて消えたUP:2003/03/01
玉ねぎがこの世に生を受けてはや数ヶ月。
ここロランシア西海岸にも、穏やかな日差しとともに軽やかな春風が吹き込んだ。重みの無い風が肩越しをなでるように挨拶すると、それに答えるかのように後ろ髪がなびいた。
厳しい冬が終わりを迎えようとしている。
光の粒子が水面に反射し、飛びはねるように辺りを照らした。海岸に乱立する岩や砂利が陰影を投げかける。ただの岩でさえ、その存在を主張するかのように凛とそびえたっていた。。。
さて、ここにいる玉ねぎにはそんな感傷などどこ吹く風。
浜辺に打ち寄せるリズミカルな波とともに釣竿を振り上げ、おろす。波が砂浜に浸透し解けて消えてしまうかのように、釣り針のミミズは波にさらわれた。
嫌なことも、こうして水洗便所のように綺麗さっぱり流れてしまえば良いものだ。が、世の中うまく行かないもので、剣士を目指して田舎から上京してきた玉ねぎどんも、なかなか冒険に出かけられない日々にうんざりしていた。
こんな浜辺でのんべんだらりと釣竿をたらしていちゃあ、せっかくのシャキシャキ玉ねぎもふやけちまう。海に呑まれてガイヤンの肥しになるくらいなら、カレーうどんの煮込みダシにでも使ってくれた方がまだ有意義だというものだ。
そして、また釣竿を振り下ろすのだった。
来る日も来る日も
釣り
つり
ツリー
つり 【釣(り)】
〔「吊(つ)り」と同源〕
(1)釣り針をつけた糸を垂らして魚を捕ること。うおつり。さかなつり。「―に出かける」
(2)「釣り銭」の略。おつり。 by 大辞林第二版
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田代!?
ういいいいいいいいいいいいいいい
ぎゃあああああああああああ!!!!!!!!!
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そう
釣りというのは実に忍耐が必要な『スポーツ』なのだ。
そして彼はまた1つ成長することができたようである。
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