いつも此処から見ていた


     窓がある。

     冬枯れの樹が、
     燃えていた。

     老婆に刺された幼子は
     しだいに腐り
     和紙に包まれ
     国を渡る。

     犯された少年は
     やがて忘れさられた
     残った傷跡だけが
     瑞々しく香る。

     私は何もできない
     この
     逆さになった世界では。

     窓の中で
     また
     麻が
     揺れた。