流れは深く




     風化した痛みを棺の中から揺り起こして
     この国で生きて行きます
     私の街は遙か遠く
     戻る道筋は掠れてもう消えていました

     大臣が戦争の後 審判と握手しているのを
     解説付きで眺めながら
     眠りにつきました
     瞼を閉じたので
     字幕を見ることは出来なくなりました

     夢の中で行われていたのは
     解説をしていた少年の処刑で
     それは
     フランス西部の古い
     美しい様式でなされていました

     私はその間中
     罪深い蛇のふりをして
     原罪の在処を探っています

     けれども
     紅い筈の果実は
     今では黒に近い紫色をしていました
     未だ甘いことを確かめて
     少年の頬に寄せるのです

     叫ぶことを
     ほんの少しだけ期待しながら
     私はそうするのです。