からくり姫 2




     からくり姫の愛していた縫いぐるみを
     とりあげてしまったのは君か
     あれからあの娘は眠ることなく
     ただ虚ろに回廊を彷徨っているよ

     返してやらないのは君の勝手だ
     しかしどうか覚えておいておくれ
     あの娘にとって
     代わるものなどありはしないのだと

     部屋に戻るのなら庭を通りたまえ
     けして宮殿に近づいてはいけないよ
     そして何を聴いても振り返ることなどしないでおくれ

     それがあの娘へのせめてもの慈悲なのだから