あれは 

雲を渡って 飛ぶ鳥だから 白いのだ

夕暮れ時に 飛ぶ鳥だから 赤いのだ
晴れの日にだけ 飛ぶ鳥だから 青いのだ
夜に隠れて 飛ぶ鳥だから 黒いのだ
お前が捕らえて 飛ばぬが故に 死んだのだ
いろを無くした 鳥だから 鬼に喰われて 死んだのだ

お前のために 甘えたとして
お前のために 謳ったとして
お前のために 泣いたとしても
あれは お前を 愛さなかった
お前が不憫で ついていた
ただそれだけの ことなのだから

あれは 空を喰らって 飛ぶ鳥だから
あれは 果てに向かって 飛ぶ鳥だから
あれは お前を偲んで 飛ぶ鳥だから



とりと、ひと