羚羊




     森の奥に見えたらしい羚羊を
     仕留めてくれようと
     少女の様に嗤うのは良いが
     まさか自分が食物連鎖の
     頂点に存在しているなどと、
     誤解してはいないだろうね。
     轍を辿って逝くばかりの我等は
     遙か昔から孤独なのだよ

     二元論を好み
     世界は桔梗と白梅、
     其れがいったいどれ程のものか
     彷徨いてひび割れた肌の
     此の痛みは紛れもなく
     所有などされてはいないという証
     動く度に散る
     桔梗と、白梅

     少女の様に
     嗤いたまえ