聖女ヒルデガルトとフシュカA



聖女ヒルデガルトが編纂した「さまざまな自然の被造物の精緻さ」、
通称「フシュカ」の石の項目から10種を抜粋してご紹介します
鉱物名はすべてギリシャ語もしくはラテン語で、
その効能や特徴について記しています
(なお、これは昔の民間療法の一種であり、実際の人体への効果を保証するものではありません)


スマラグドゥス(緑玉)
・スマラグドゥスが最もよく波動を発するのは朝方、日の出頃である。
・この石は人間のあらゆる衰弱と無気力に対して効力を持つ。
それは太陽がスマラグドゥスをうまく調整する気と、
この石の実体が空気の緑の活力でできているからである。
・心臓、胃、脇腹に痛みのある人はこの石を身につけると体の肉がそれによって温まり、
調子がよくなるであろう。

ヒアキィント(ヒヤシンス石)
・ヒアキィントは日の出の後の穏やかな温かさが戻ってきた時、
太陽の火の気によって波動を発する。
・ヒアキィントは火の性質よりも空気の性質を強く持っている。
それは火の気によって波動が励起されることによる。
・目がかすんだり、ぼんやりしたり、化膿している人はヒアキィントを太陽の方角に向けて温め、
唾液で少し湿らせて即座にあてがうと、目は明るくなり健康になる。

サルドニクス(紅縞めのう)
・温性の石で、午後一時過ぎから午後六時頃、日ごとに波動を強めていく。
・人間の五感に力を与える。その五感にとっての治療薬でもある。
・急性の病気にかかった時、その後汗が出て回復したら、すぐにこの石の指輪を嵌めると、
もやはやこの病気にかかることはない。

クリューソリトウス(貴かんらん石)
・正午過ぎから午後三時頃、太陽の熱と空気の湿り気によって波動が励起される。
・この石は身につけておくと認知機能を強める。
したがって優れた学識と優れた技術を持つ人が石を心臓の上に置くと、
そこに石がある限り彼の優れた知識と技術は失われない。
日中の七時間に、それらのある種の力を蓄えているからである。

クリソプライス(緑玉髄)
・この石の波動が励起されるのは、
太陽が完全に沈んでしまって空気と水がどんよりと緑がかった色を帯びる時である。
・痛風の人は素肌のその部分にこの石をあてがうと癒える。
・これを所持していると空気の霊たちが悪ふざけをしてこない。

カルブンクルス(紅玉)
・月がこの世に飽きた月食の時に最も強く波動を発する。
・すべてに強力な作用を及ぼす。衣服につけておくと劣化を抑え、長持ちさせる。
この石のあるところには空気の精霊は悪霊のようなものを一切つくることができず、
遠ざけるからである。

アダマス(金剛石)
・温性であり、正午頃南の地方でより強い波動を発する。
・狂乱、嘘つき、短気な人は、この石をいつも口に入れておくと狂気は取り除かれる。
・絶食したい人はこの石を口に含むと空腹感が弱まるので、
長く続けることができる。

リグリウス(山猫尿石=琥珀)
・温性であり、山猫のある尿から生まれる。しかし、そのすべてからできるわけではない。
尿の排出が困難な人は、牛か羊の乳の中にこの石を入れ、
二日目に取り出して沸騰させて飲むのを五日間続けると、尿が排出される。

クリュスタルス(水晶)
・クリュスタルスは黒みがかった色の、ある種の冷たい水から生まれる。
・目がかすむ人は、この石を太陽にかざして温め、目にあてがうと、
この石の水の本性によって、悪い体液を目から取り除き治すであろう。

コルヌム(紅玉髄)
・冷たい空気の性質というよりも、むしろ温かい空気の性質を持ち、
砂の中に見つかる。
・鼻血には葡萄酒を温め、そこにこの石を入れて患者に飲ませると血が止まる。