オルフェウスのリティカA



ここでは「リティカ」の中でテイオダマスが歌っている32種の石の中から、
15種について抜粋してご紹介します
「博物誌」の影響とギリシャ神話が混ざり合ったようでもあり、
讃歌独自の美しい表現によって特徴が書き記されています

クリスタロス(水晶)
ギリシャ語では水を意味する クリュオス(冷たさ)からの派生語
太陽の流出物である(太陽にかざすと炎を生み出すが、それでも石は冷たい)
不死なる神々の不滅の心は火を喜ぶ

ガラクティス(乳石)
ギリシャ語の「ガラ」は乳の意
甘い酒で溶かしたこの石は若妻や雌山羊の乳の出をよくする
祈る者に加護を与え、慈悲深くする
痛ましい禍いを忘れさせてくれる
この石をすり潰すと乳白色の液が流れ出る

エウペタロス
「美しい葉」の意 「エウ」は素晴らしいの意
「ペタロス」はペタロン(葉)からの派生語
美しい四色がある(青、緑、赤、朱)

エラフォケラティテス(鹿角石)
エラフー(鹿の)とケラス(角)の二語を一語で表記している
養毛の不思議な力をもつ(オリーブ油に浸して毎日こめかみに塗る)
永遠に一心同体の愛の喜びを与える
(鹿の頭から生える角の発育力を意味する)

イアスピス(碧玉)
おそらく緑を意味する言葉に由来 緑は生命を育む力の象徴
この石で神々は、乾いた畑に大雨を恵んでくれる
よく磨かれた春の緑のような石

オパリオス(オパール)
サンスクリット語の「ウルパス」(宝石)が語源
目の癒しとなる 女神達を喜ばせる
子供のような肌目を持つ

クリュソトリクス
クリューソス(金)とトリクス(髪)からなり、太陽の光線を示す
永遠の生命を持つ太陽神は、この石に大いなる息を吹き込んだ
この石を持つ人間を栄光ある権威ある英雄となる
太陽神ヘリオスは黄金の髪を持つが、
水晶やクリュソリトス(貴かんらん石)に似て透明である。

マグネティス
どのような(優勢劣勢問わず)戦いであっても、この石にて魔法をかけることができる
妻の貞操を試す
戦いの激情を避けさせ、集会の人々を甘美な声で魅了する
どんな神々の心も惹きつけ即座に望みを叶えてくれる

オフィテス(=オフィエティス、蛇紋石)
オフィス(蛇)に由来
石には蛇の文様がある
細かく砕いたものは、蛇の力強い牙にかまれた傷口に塗ると癒しとなる
(蛇=聖獣は脱皮することから再生を意味する)

オストリテス(牡蠣石)
オストレオン(牡蠣)に由来
生のぶどう酒に入れて磨り潰したものを飲むと苦痛を鎮める

エキテス
エキドネ(毒蛇)に由来
毒蛇にかまれた九年間の古傷も、
カマオン(医神アスクレピオスの息子)のこの石を使った医術で癒された

スコルピオス(サソリ石)
ギリシャ語のスコルピオン(サソリ)に由来
蠍にかまれて手足に激しい痛みを受けている時、この石はこれを癒す

コルセイエス(頭髪石)
コルセー(髪)に由来
人間の頭髪と似ている(西洋人の髪であって、黒髪のことではない)
薔薇油と混ぜると喉の痛みの手当てになる
ニンニクと混ぜると蠍を退散させる

ネブリテス(小鹿の皮石)
ネブリス(小鹿の皮)に由来
蛇による傷の痛みを鎮める 妻に夫への欲情を駆り立てる
これを手にして犠牲を捧げ祈れば、いろいろな願い事が叶う
(小鹿の皮は酒と豊穣の神バッカスが身につけていた)

カラジオス
カラザ(電)に由来
火のような熱病を癒してくれる
蠍の毒を除く 聖なる最高のもの