プリニウスの博物誌A



ここではプリニウスの「博物誌」第26巻と第27巻に記されている
三百数十種の鉱物と宝石の中から、17種を抜粋して紹介します
なおここに記されている効能は実際の効能ではありません


リュクニス(ルビー)
・「光を発する宝石」の意 ラテン語のルーケルナ(ランプ)が由来
・火のように赤い石に属する
・ランプを灯することができる
・日向で温めたり指で摩擦するとパピルスなどの繊維を吸い付けるという

サルダ(紅玉髄)
・サルディス(小アジアのリディアの都市)に由来
・雄石は光が強く、雌石は光が弱くてはっきりしない
・古代において最も用いられた石で、メナイドロスやフィレモンの上演の際、
振って見せびらかされる宝石である

モロキテス(孔雀石)
・ギリシャ語のマラケー(ゼニアオイ)に由来
・印章としてはっきりとした刻印が得られる

キュアヌス(青石)
・ギリシャ語のキュアノス(青い)から
・時には石の内部に金色の埃がある
ただしこれは、サッピルス(瑠璃)に生ずるものとは異なる
サッピルスは金が点である

ヒュアキントス(サファイアを含む青い石)
・「ヒヤシンスの花」の意
・ちょうど紫水晶の紫がヒヤシンスの花の色で薄められている感じ
・美しい石なのだが、それを堪能する前に美しさを失ってしまう
同名のヒヤシンスの花よりも、もっと早く萎れてしまう

クリュソリトス(貴かんらん石)
・クリューソス(黄金)、リトス(石)というギリシャ語の合成語
・最良の種類は金のそばに置くと、その金に白い銀のような外観を帯びさせる
・エチオピアから来るが好まれるのはインド産で、質が劣るのはアラビア産である

アステリア(星光石)
・ギリシャ語のアステール(星)が由来
・高い地位を占める無色の明るい石
・傾けると石の内部で光が移動するかのようである

アストリオテス(星の石)
・アステリアと同じくアステールが由来である
・ゾロアスターが、魔法を行う時にこの石を使用すると著しい効果がある、
と宣言したといわれる

イリティス(虹石)
・ギリシャ語のイーリス(虹)が由来
・水晶としか見えないので「水晶の根」と呼ばれることもある
・部屋の中で太陽光線を当てると壁に虹を映し出す
その色はたえず変化し、驚かされる

コラルス(珊瑚)
・ギリシャ語の珊瑚 コーラルの語源
・インドの予言者は危険を払うのに力のあるお守りだと信じている
・嬰児のお守りとして身につけると、守護してくれると信じられている
・焼いて粉末にしたものを水に入れて飲むと。腹痛、膀胱疾患、結石に結果がある
・枝の灰は吐血に対する有効な治療剤である

オフィエテス(蛇紋石)
・オフィス(蛇)を示すギリシャ語から
・護符として身につけると蛇の咬傷を癒す
・白い種類を護符にすると神経錯乱、昏睡状態の患者に効く

ハエマティティス(ハイマトエイス)
・ギリシャ語のハイマ(血)に由来
・目の充血によく効き内服すると月経過多を抑える
ザクロの汁を加えて患者に飲ませる
・膀胱の病気の内服液
・ぶどう酒に入れて飲むと蛇の咬傷に効き、消毒剤になる