第3章 日本の天気

 


今回は、日本付近の四季の典型的な天気について解説します。局地的な天気については、後に解説していくつもりです。

 

春の天気

春は、大陸の揚子江気団が発達します。これが日本上空を偏西風に流されて、ゆっくりした速さで西から東へ移動し、移動性高気圧となります。この高気圧の中心や北側では、風が弱く天気も良く、雲もほとんどありません。しかし、中心より後方や南側では普通雲が多い。

高気圧と高気圧の間には低気圧が発生し、これも日本上空を西から東へと移動します。そのため、天気は数日から1週間くらいの周期で変化します。

 

梅雨

梅雨は、日本の気象の大きな特徴の1つです。

6月のはじめ頃、オホーツク海高気圧が北日本まで張り出しています。一方、徐々に小笠原高気圧が日本の南海上で次第に勢力を強め、日本付近に張り出してきます。この性質の違った2つの気団が、日本付近で接すると、両者の間に前線(面)ができます。これが梅雨前線と呼ばれています。

梅雨に入る時期は、沖縄では5月中旬、九州〜関東では6月上旬、北陸〜東北では6月中旬で、約1ヶ月間続きます。

この時期、両者の勢力がほぼつりあうために、梅雨前線は日本付近を北上したり南下したりするだけで、ほぼ同じ位置に停滞し、全国的にぐずついた天気が続きます。梅雨の前半は、比較的雨量が少なく、曇りがちの天気となります。

梅雨による雨は、日本では水資源として重要です。しかし、梅雨の末期になるとしばしば集中豪雨になり、大きな災害を引き起こすことがあります。

オホーツク海高気圧が衰え小笠原高気圧の勢力が強くなると、前線を北に押し上げ梅雨明けとなります。梅雨前線は北海道付近まで北上すると自然に消えてしまいます。そのため、北海道には梅雨はありません。

梅雨明けは、沖縄では6月下旬、九州〜関東では7月中旬、北陸〜東北では7月下旬になります。

 

夏の天気

梅雨が明けると、いよいよ本格的な夏です。

日本付近は、太平洋に発達した小笠原高気圧に広く覆われ、大陸が低圧部になります。この気圧配置を「南高北低型」といいます。

この気圧配置になると、高温多湿の南寄りの季節風が吹き、蒸し暑くなったり、日本海側ではフェーン現象によって異常に気温が上がることもあります。

天気は一般に良く晴天が続きますが、気温が上がり上昇気流が生じるため大気の状態が不安定になって、しばしば夕立や雷雨が発生します。

上層では、亜熱帯高気圧が北上しているため、偏西風の強さが一年中で最も弱くなっています。

 

台風

熱帯低気圧は、南北の緯度5〜20°の海洋上で夏から秋にかけて多く発生します。熱帯の海面温度は高く、盛んに水の蒸発が起こって、大気中には大量の水蒸気が蓄えられます。熱帯低気圧が発生して上昇気流が生じると、水蒸気は凝結して、雲を生じます。その際、周囲に大量の潜熱を放出するため、上昇気流はさらに加速されて熱帯低気圧が発達します。

北太平洋西部の洋上で発生し、最大風速が17.2m/s以上になった熱帯低気圧を台風といいます。台風の中心気圧は、温帯低気圧と比べると著しく低く、中心付近の風速は50m/sを超えることもあります。

台風は、大量の雨をもたらし、しばしば大きな災害となることがありますが、その反面水資源を供給するという恩恵もあります。

 

秋の天気

9月になると、日本付近には秋雨前線が停滞して、ぐずついた天気が続きます。さらに、この時期は台風も日本付近に接近するため、前線に南から湿った空気が入り込み、前線の活動が活発になって大雨になることもあります。

10月になると、春と同様に移動性高気圧に覆われて、周期的に天気が変化します。

 

冬の天気

冬になると、大陸のシベリア高気圧が日本上空に勢力を伸ばしてきます。日本の北東洋上には低気圧が発達していて、このような気圧配置を「西高東低型」といいます。

冬は、強い北西の季節風が吹きます。この季節風が日本海上を通過する際に、大量の水蒸気を含みます。これが、山脈にあたると上昇気流になって、日本海側に大雪を降らせます。一方、太平洋側は、季節風は山脈を越えると乾燥した風に変わるため、晴れて乾燥します。

しかし、低気圧が日本の南岸を進む場合、太平洋側でも大雪となります。


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