第2章 気象観測
今回は、地上気象観測を行う際に必要な機器についてです。機器の写真があればいいのですが…。
百葉箱
観測機器に直射日光や雨が当たらないようにするために設置し、中に観測機器を入れておく。外側は太陽光をよく反射するように白く塗られていて、風通しがよく作られている。設置する場所は、建物などの影響を避け、開けた場所がよい。
気圧
気圧の単位には、普通hPaを用いる(1atm=1013.25hPa=760mmHg)。最も信頼のおける気圧計は、フォルタン型水銀気圧計で基準測器とされている。これは、水銀柱の高さから気圧を求めるもので、その場所の重力加速度gの値と測定時の水銀の密度が分かっている必要がある。フォルタン型水銀気圧計は、0℃、基準重力g
0
=9.80665m/sec
2
のとき、正確な値を示すようになっている。
アネロイド型気圧計は、水銀気圧計より精度は悪いが小型・軽量で取り扱いが便利なので、よく用いられている。ほぼ真空にした扁平な金属性容器の変形の度合いから気圧の大きさを求めている。時々フォルタン型水銀気圧計で較正する必要がある。
地上付近では、約8m上るとほぼ1hPaずつ気圧が低くなる。そのため、異なった高さの観測点で測定した気圧を比較する場合、同一高度での値に換算する必要がある。比較のための基準を平均海面とし、海面から観測点までの空気柱を考えて、その圧力を観測地に加えてやる。これを海面更正という。
気温
地上気温は、地面から高さ1.25〜2mの間で測定するように国際的に決められている。気温の測定には、古くから水銀温度計が用いられてきた。これは、測定が容易で性能が安定しているという利点がある。測定の際には遅れの係数を小さくするため、通常3m/sec以上の通風をする。
通常のもののほかに最高温度計や、最低温度計(水銀の代わりに可動指標を含んだアルコールを用いる)がある。気温の変化を連続的に記録するためには、自記温度計が使われる。
湿度
大気中の水蒸気量を知るために湿度の観測が行われる。水蒸気量は、水蒸気圧や相対湿度、露点温度などで表される。通風乾湿計は、水銀温度計を2本用いて、片方の球部に薄い布を巻き、水をしみこませる(湿球)。他方は、気温を示す(乾球)。大気中の水蒸気量が少ないとき、湿球からの蒸発は多くなり、気化熱が奪われ湿球温度は低くなる。
定常状態では、湿球温度に対する飽和水蒸気圧と空気中の水蒸気圧の差は、乾球と湿球の温度差と気圧の積に比例するから、乾球・湿球の温度から空気中の水蒸気圧、相対湿度、露点温度を求めることができる。精度は、相対湿度で±2%程度であるが、湿球が氷結するような場合は、もっと悪くなる。
風
風は大気の運動状態を表す量で、風向と風速で表される。風向は、8方位または16方位、36方位で表す。風速の単位は、通常m/secを用いるが、kt(ノット:1m/sec=1.9kt)を用いることも多い。
風向や風速はたえず変動しているので、普通は10分間の平均を用いる。また、風は周囲の地形や建物の影響を受けやすく、高度によっても風速が変わってくるため、地形性の風や建物の影響を調べるとき以外は、風向風速計は平坦な土地を選び高さ10mに設置することが標準とされている。
降水
降水は、雨と雪に大別される。降水量の観測は、ある時間内に地表に達した降水を水の深さにして何mmになるかで表す。口径20cmの貯水型指示雨量計にたまった雨を雨量升で計る。
天気
天気の観測は、他の項目とは違って目視によって行われる。全雲量は、雲が覆っている面積を全天に対する割合(通常0〜10)で表す。天気は、全雲量が0〜1のときは快晴、2〜8のときは晴れ、9〜10のときは曇りとなる。また、雨や雪、霧、雷などが観測される場合は、そちらが優先される。
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