第1章 天気図の書き方
初回は、「天気図の書き方」について書きます。
天気図は、主に山や海上などのテレビや新聞が手に入らないような場所で利用されます。
天気図を書くだけなら、気象に関する知識はあまり必要ありません(予報するには必要ですが)。慣れれば誰でも書けます。
それでは、天気図の書き方を手順を追って説明していきましょう。
1.準備
用意するもの:ラジオ、天気図用紙、シャープペン、黒ペン、赤・青・紫色のペン
NHK第2放送で毎日3回(9:20~、16:00~、22:00~20分間)放送されています。放送をテープに録音しておけば、聞き逃してしまっても後で聞き直すことが出来ます。
天気図用紙には、第1号と第2号があります。第1号は、用紙の左端に放送内容をメモする欄があります。始めのうちは天気図に直接書き込んでいくのは難しいので、メモ欄に記入しておいてから、放送後に書き込むのがいいでしょう。慣れている人は、直接書き込もう!
第2号は、メモ欄がなく地図の範囲も広くなるので、上級者向きです。
2.さあラジオを聞こう!
0)日時
放送が始まると、まず「気象庁予報部発表○月○日○時の気象通報です。」と放送されます。天気図の左上に日時を記入しましょう。
1)各地の天気
次に、「各地の天気」が放送されます。これは、天気図を書く上で最も基礎的なデータになります。例えば、
「石垣島では、北北西の風、風力3、天気晴れ、気圧1015hPa、気温28℃」
というように放送されます。
まず、地名を探します。それから、下に書いた要領で天気を黒ペンで記入します。この時、黒ペンを使うのは、後で等圧線を引く際に消しゴムを使っても消えないようにするためです。
①風向・風力
風向は、16方位で、矢羽の方向で表します。地図では普通、上が北(正確には経線の方向)になっています。
メモ欄に記入する場合、「北北西」なら、北(North)を「N」、南(Southern)を「S」、東(East)を「E」、西(West)を「W」と略し、「NNW」というように記入します。
風力は、0~12の13段階で、矢羽の羽の数で表します。羽は6本までは矢の右側に、それ以上は左側に書き、一番上の羽は、少し長めに書きます。風力0(「風弱く」)の時は、何も記入する必要はありません。
②天気
天気は、下のような天気記号を使います。
③気圧・気温
気圧は、○の右上に下2桁で記入します。「1006hPa」なら「06」、「998hPa」なら「98」というように記入します。
気温は、○の左上に記入します。
矢羽と重なってしまう場合は、ずらして書いてもかまいません。
記入例:「北北西の風、風力3、天気晴れ、気圧1015hPa、気温28℃」の場合
2)海洋ブイ・船舶の報告
その後、「海洋ブイ・船舶の報告」が放送されます。これは、海上での天気です。場所を示すのに緯度・経度を使います。例えば、
「日本の南の北緯27度、東経131度では、北の風、風力3、天気不明、気圧998hPa」
というように放送されます。
まず、緯度・経度で示された場所に、○を書きます。それから、「各地の天気」と同様にして天気を記入します。
ここまででは、まだ「天気図」というよりは単なる地図でしかありません。
3)漁業気象
次に、「漁業気象」が放送されます。「漁業」といっても、低気圧・高気圧や前線などの位置を緯度・経度で放送します。だいたい「低気圧」→「前線」→「高気圧」という順です。
①低気圧
低気圧は、赤ペンで書きます。例えば、
「北緯40度、東経140度には、998hPaの低気圧があって北東へ毎時40kmで進んでいます。」
と放送されます。
まず、緯度・経度で示された場所に、×を書きます。それから、×のそばに「L」(または「低」)と書きます。そして、進んでいる方向に矢印を書いて速度を書きます。
「ゆっくりと進んでいます」の場合は「slowly」、
「ほとんど停滞しています」の場合は「stop」と書きます。
②台風・熱帯低気圧
台風・熱帯低気圧は、低気圧と同様に赤ペンを使い、書き方も、低気圧の場合とほぼ同じです。
ただ、台風の場合は、「L」(または「低」)と書くかわりに「T○号」(または「台○号」)と書きます。また、熱帯低気圧の場合は、「TD」(または「熱低」)と書きます。
③前線
前線には、温暖前線、寒冷前線、閉塞前線、停滞前線の4種類あります。例えば、
「北緯○度、東経○度から停滞前線が、……を通って、北緯△度、東経△度にのびています。」
と放送されます。前線は、次のような線で書きます。()内の色を使って書く場合は、線だけでもかまいません。
④高気圧
高気圧は、青ペンで書きます。書き方は、低気圧の場合とほぼ同じで、「L」(または「低」)と書くかわりに「H」(または「高」)と書きます。
4)等圧線
最後に、日本付近を通る等圧線を1~2本放送します。これは、等圧線がどこを通るかというのを、緯度・経度で放送します。これは、直接書き込むのではなく、天気図の余白部分にメモしておきます。
3.仕上げ
まず、聞き逃してしまったところがあったら、テープを巻き戻して聞き直します。
次に等圧線を書き込みます。この作業が天気図を書く上で一番難しいと思います。
等圧線を書く時に、前日の天気図(新聞の天気図で良い)があると多少参考になります。
はじめに、基準となる等圧線を引きます。これは、最後に放送されたものです。等圧線が通る場所にしるしをつけ、次のことに注意して滑らかに結びます。
・等圧線は、折れ曲がったりしない。(ただし、前線のあるところでは折れ曲がることがある。)
・等圧線は、途切れたり枝分かれしたりしない。
・気圧は、四捨五入して整数値にしてあるので、等圧線は、必ずしも観測地点の真上を通る必要はない。
その後は、各地の気圧の値を見ながら4hPa毎に等圧線を引きます。
また、低気圧・高気圧の中心近くは、丸く書きます。
海上などの観測地点が少ない場所は、前日の天気図などを参考にして書きます。
例:1012hPaの等圧線(図の太線)
慣れれば、(放送時間20分)+(等圧線を書く時間)≒30分くらいで書くことが出来ます。