秋の星座
秋の星座は、その大半が天の川から遠く離れ、星数も少なく、どこかもの寂しい感じがします。それもそのはず、1等星は、みなみのうお座にあるフォーマルハウトだけです。けれども秋の星座は、ほとんどがエチオピア王家にまつわる神話に登場してきますので、神話に思いをはせながら星座をたどっていくと面白いでしょう。
ペガスス座は、馬の形をしていて、ギリシャ神話では、羽を持ち空を飛ぶ馬ペガススの姿だといわれています。勇士ペルセウスがメドゥーサの首を切り落とした際に、流れ出た血が岩にしみ入り、そこから誕生したといわれています。
まわりに明るい星が少ないことから、ペガススの胴体にあたるところにある大きな四辺形が比較的よく目立ちます。この四辺形をペガススの四辺形とか秋の四辺形と呼んでいます。
秋の四辺形の北東の隅の星から東に向かって星がほぼ一直線上に並んでいます。この星の並びが、アンドロメダ座です。ギリシャ神話によると、エチオピアの美しい王女の姿だということです。
また、この星座には、アンドロメダ大銀河(M31)があります。M31は、私達の銀河系とよく似た銀河の中では最も近い距離にある銀河です。約1千億の星が集まって渦巻きを形成しています。望遠鏡で見ると、雲のようにボヤーッと見えるだけですが、写真に撮ると銀河の形がはっきりと分かります。
▲M31
アンドロメダ座の北側には、Wの形をしたカシオペヤ座があります。この星座は、ギリシャ神話ではエピオピアの王妃でアンドロメダの母、カシオペヤの姿だといわれています。このあたりを天の川が通っているため、双眼鏡を向けると微かな星がたくさん見えます。
カシオペヤ座は、北斗七星と同様に北極星を探す目印となっています。
アンドロメダ座の後から昇ってくるのが、ペルセウス座です。この星座は、ギリシャ神話ではメドゥーサを退治し、化け鯨からアンドロメダ王女を助け出した勇士ペルセウスの姿だといわれています。
毎年、8月12日/13日に極大をむかえるペルセウス座流星群は、学校の夏休み時期にあたるため、流星を初めて観測・観望してみようという人には絶好の対象です。
アンドロメダは、エチオピア国のケフェウス王とカシオペヤ王妃の娘でした。ある日、自慢癖のあるカシオペヤ王妃が、自分の娘のアンドロメダは、海の妖精たちよりも美しい、と言ったため、海の神ポセイドンの怒りをかってしまいました。ポセイドンの怒りを静めるため、アンドロメダ王女はいけにえにされることになってしまいました。こうして、アンドロメダ王女は海岸に鎖でつながれ、あわや怪物の餌食となろうとしたのです。
化け鯨が近づき、いまにもアンドロメダを呑み込もうとした瞬間、メドゥーサを退治して帰る途中のペルセウスが通りかかり、その危機を救いました。ペルセウスが、メドゥーサの首を化け鯨に向けたところ、鯨はたちどころに大きな岩の塊に変わってしまったといいます。こうしてペルセウスは、怪物を倒してアンドロメダ王女を助け出しました。