第3章 流星観測
流星観測には、肉眼・写真・電波などさまざまな観測方法がありますが、ここでは、肉眼での観測の方法を解説したいと思います。
以下の観測方法は、ほんの1例です。
1.
準備
l 懐中電灯 赤いセロハン等をかぶせて減光しておきます。
l 時計 暗い所でも容易に読み取ることができるもの。
l 記録用紙 流星が流れた時刻や特徴を記録するもの。
l 星図 観測した流星の経路を記入するためのもの。
l ペン ボールペンやシャープペンは夜露で濡れた紙にはうまく書けません。
l 画板など 記録用紙や星図をクリップで留めれば風で飛びません。
l 防寒着 場所によっては相当冷えます。
l ビニールシート 立ったまま空を見るのは疲れるので地面にシートの上に横になります。
* 予備の電池・ペン等も忘れずに。
2.
観測地を選ぶ
星を見る前に、適切な観測地を選ぶ必要があります。その際のポイントを以下に挙げますので、参考にして下さい。
l 天候の良い所・・・.晴れなければなりません。
l 視野が開けている所・・・できれば全天を見渡せる所がベストですが・・・。
l 光害が少ない所・・・街灯や車のライトの射す所は避け、暗い環境を探しましょう。
以上の3条件の他に、「安全に観測できる」、「周囲に迷惑が及ばない」などが挙げられます。
3.
観測方法
観測は放射点が地上に昇ってから、明け方、薄明で星が見えなくなる頃まで可能です。
① 地面にシートなどを広げ、その上に横になります。
② 流星が流れたら、まず時計で時刻を確認し、記録します。
③ 次に、記録用紙に流星の特徴を記入していきます。項目は以下を参考にして下さい。
l 継続時間・・・流れ始めてから消滅するまでの時間を記録します。
l 移動速度・・・流星の移動速度を例えば5段階(1:遅い~5:速い)で記録します。
l 明るさ・・・恒星と比較して何等級だったかを記録します。
l 色・・・流星はいろいろな色があります。
l 痕・・・流れた後、しばらく煙のようなものが残ることがあります。これが痕と呼ばれるものです。痕の有無を記録します。
l 確度・・・本当に流れたと確信できるかどうかを5段階で評価します。
l 群・・・流星には「散在流星」と「群流星」の2種類があります。流星の軌跡を逆にたどっていって、流星群の放射点付近にたどり着いたら群流星です。その流星が群流星だったかどうか記録します。
④ それから、流星が流れた経路を星図に矢印で記録します。その際、矢印のそばに記録用紙の流星番号を一緒に書き込みましょう。
⑤ 流星の数が多い場合、一定時間の個数を計測するだけでもよいでしょう。
⑥ また、一定の時間間隔(例えば10分毎)に、全天の雲量、最微等級(肉眼で見える一番暗い星)等を記録しておくと良いでしょう。
記録用紙の例
観測日:2000/11/18
観測時間:2:00~3:00 平均雲量:3 最微等級:5等級
番号 |
継続時間 |
移動速度 |
明るさ |
色 |
痕 |
確度 |
群 |
1 |
0.8s |
5 |
1.0 |
白 |
× |
5 |
○ |
2 |
1.2s |
3 |
3.5 |
白 |
× |
2 |
× |
3 |
2.0s |
2 |
0.0 |
緑 |
○ |
5 |
○ |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
… |
10 |
|
|
|
|
|
|
|
4.
結果の整理
観測が終わったら、これらのデータをまとめてみましょう。
まず、一定時間毎(例えば10分毎)の出現数を集計してみましょう。これをグラフにしてみれば、出現数の時間的変化を見ることができます。出現数がピークになっている時刻が流星群の極大とされますが、天候の影響などでなかなか極大を推定することは難しいものです。
次に、流星の特徴をまとめて見ましょう。継続時間や移動速度、明るさなどは度数分布を作ってみるといいでしょう。これらは各流星群によって違いが出てくると思います。