第2章 流星とは?
今回は、流星について解説します。
晴れた夜空に、一筋尾を引きながら流れる流星。やっと判断できるほどの暗いものから、影を落とすほど明るいもの、時には数秒間にわたって跡をとどめるものまで様々です。
流星の正体は、宇宙空間に漂う無数の塵がたまたま地球に衝突してきたもので、大気中で摩擦により熱・光を発するので輝いて見えるのです。これらの塵の大部分が1g以下で、大気中で燃え尽きてしまいます。しかし、時には大気中で燃え尽きずに地上まで落下して隕石となったり、クレーターをつくったり、樹木をなぎ倒したりするような場合もあります。
晴れた夜、光害のない十分暗い場所では、平均して1時間に数個から十数個の流星が見られます。1日のうちでは夕方に少なく、明け方になるにしたがい増加します。また、1年間では、1月~6月の間よりも7~12月の方が多く見られます。
私達の目に見える流星は夜間のみですが、地球に衝突する微小天体は、昼夜問わずにやってくるため相当な量になり、1日で数千トンにもなるといわれています。すなわち、地球近傍の宇宙空間には、流星になるような微小天体が無数に存在し、太陽のまわりを様々な軌道を描いて公転している、ということになります。近年、これらの微小天体は星間物質とか惑星間物質と呼ばれ、恒星進化の上で重要な働きをしていることが分かってきています。
微小天体が地球の大気中に飛び込んでくると、空気の分子と衝突し、運動エネルギーが熱エネルギーに変化し、蒸発して光りだし、やがて拡散して消滅してしまいます。この光りだした点を流星の発光点、見えなくなった点を消滅点、光っていた時間を継続時間、流星の軌跡を進行方向とは逆に延長して天球と交わる点を流星の放射点と呼びます。この放射点は、微小天体が地球に飛び込んできた方向で、流星の公転軌道を求めるために大切です。一般に、発光点は、地上約100~200km、消滅点は、地上約80~100km程度といわれています。
明るい流星の場合、流れたあとに煙のようなすじを残します。これを「流星痕」といいます。流星痕は大気の移動につれて動いていき、しだいに消えていきます。肉眼で見えなくなっても数10秒から数分間残っていることが多く、写真撮影するとその変化をとらえることができます。
流星の中で特に明るく、マイナス等級に(金星より明るく)なるようなものを「火球」と呼んでいます。大火球の場合、音を伴うものもあります。ほとんどの場合、流れたあとにすじ(流星痕)を残し、それが大気の移動につれて動いていき、しだいに消えていきます。
もし、流星が同じ方向から多数やってくると地上では、流星が天球上のある1点から放射しているように見えます。このように微小天体が集団的に同じような軌道を公転しているものを流星群といい、これに属する流星を群流星といいます。これは、同じ彗星から放出された物質が、宇宙空間で彗星とほぼ同じような軌道を公転していることを教えてくれます。この流星群が長い年月を経過すると、様々な力の影響でだんだんもとの軌道からずれて最後には集団から外れてしまいます。このような流星を散在流星と呼んでいます。
流星群では、1地点で観測していても視経路から放射点を求めることができますが、散在流星は、2地点以上で同じ流星を同時に観測しない限り、簡単に放射点を求めることはできません。
普通夜空に見られる流星の大部分は散在流星で、群流星は1年中である特定の期間にのみ見られます。流星群の名前は、放射点のある星座名をとって、ペルセウス座流星群とかしし座流星群と呼んでいます。1年中の主な流星群は以下の通りです。
番号 |
流星群名 |
出現期間 |
極大日 |
放射点位置 | 極大時 出現数 |
母天体 |
特徴 | |
赤経 |
赤緯 |
|||||||
1 | りゅう座ι | 1月 1日~ 1月 6日 | 1月 4日 | 15h20m | +49° | 10 | ||
2 | かみのけ座 | 1月10日~ 1月25日 | 1月20日 | 12 28 | +21 | 2 | ピークは不明瞭。 | |
3 | おとめ座 | 3月10日~ 5月15日 | 4月中旬 | 14 16 | -12 | 1 | 1861Ⅰ | 火球を飛ばすこともある。 |
4 | こと座 | 4月16日~ 4月25日 | 4月22日 | 18 16 | +34 | 6 | 1980,1982,1991年に突発。 | |
5 | みずがめ座η | 4月25日~ 5月10日 | 5月 6日 | 15 28 | - 1 | 8 | 1P/Halley | |
6 | おひつじ座 | 5月29日~ 6月18日 | 6月 7日 | 2 56 | +23 | 1 | 昼間流星群。 | |
7 | ポン・ウィンネッケ | 6月25日~ 7月 2日 | 6月27日 | 14 44 | +51 | 1 | 1998年に突発。 | |
8 | みずがめ座δ | 7月15日~ 8月15日 | 7月29日 | 22 36 | -16 | 8 | 7月下旬~8月上旬、同レベルの出現。 | |
9 | やぎ座 | 7月15日~ 8月15日 | 7月30日 | 20 28 | -10 | 2 | 1881Ⅴ | 出現数は少ないが、火球は印象的。 |
10 | みずがめ座ι | 7月25日~ 8月20日 | 8月 4日 | 22 12 | -15 | 3 | 極大は不明瞭。 | |
11 | ペルセウス座 | 7月20日~ 8月20日 | 8月12日 | 3 08 | +58 | 30 | 109P/Swift-Tuttle | 出現数が多い。 |
12 | はくちょう座 | 8月10日~ 8月25日 | 8月20日 | 19 16 | +56 | 3 | ||
13 | ジャコビニ | 10月 7日~10月11日 | 10月 8日 | 17 28 | +54 | 1 | 21P/Giacobini-Zinner | 13年ごとに活動期が訪れる。 |
14 | オリオン座 | 10月10日~10月30日 | 10月21日 | 6 20 | +16 | 15 | 1P/Halley | 前後数日同レベルの出現を見せる。 |
15 | おうし座北 | 10月15日~11月30日 | 11月上旬 | 2 44 | +20 | 3 | 2P/Encke | 火球も多く写真に写りやすい。 |
16 | おうし座南 | 10月15日~11月30日 | 11月上旬 | 2 40 | +12 | 3 | 2P/Encke | 極大は不明瞭。 |
17 | しし座 | 11月15日~11月22日 | 11月17日 | 10 12 | +22 | 60 | 55P/Tempel-Tuttle | 33年ごとに大出現。 |
18 | オリオン座χ | 11月22日~12月10日 | 12月 2日 | 5 28 | +23 | 3 | ||
19 | いっかくじゅう座 | 12月 5日~12月17日 | 12月 9日 | 6 40 | + 8 | 1 | 眼視より写真に写りやすい。 | |
20 | ふたご座 | 12月 7日~12月18日 | 12月14日 | 7 32 | +32 | 20 | 1983TB? | 一晩の観測数は年間最大。 |
21 | こぐま座 | 12月18日~12月24日 | 12月22日 | 14 28 | +76 | 3 | 8P/Tuttle | 突発癖がある。 |