「TVチャンピオン 第3回駅弁王選手権」撮影日記

 

 2001年6月上旬のことだったでしょうか、メールで突然出演依頼が舞い込みました。日程は6月最後の3日間。6月末が仕事のピークな上、更に6月29日(金)の送別会の幹事を引き受けており、無理だと断ったところ、電話で「日程を7月1日からの3日間にしますので」との連絡。それならまあいいかと一応応諾、その後、製作会社から(それまでの連絡はリサーチ関係の会社だったらしい)電話で予選(?)問題。「横川の釜めしの中味を挙げて下さい。」7つくらい並べたら(どうも「だるま弁当」とごっちゃになってた)、電話を切った横でかみさん「あら、釜めしだったらあんずを忘れてるわよ。」うーん、電話の内容で何の話か分かった上、間違いまで指摘されてしもーた。次はお前が出ろ。その後改めて「出場していただきます」という電話があり、メールで出題範囲(って、つまり全国の駅弁のリストなんですけど^^;)が届きました。

  業務と幹事とでヘトヘトだったのにも係らず6月30日(土)は雨の中7:00発「スーパーあずさ1号」に乗りました。松本で2個駅弁を購入、雨の中鈍行で引き返しつつ、塩尻で2個、岡谷で1個と駅弁を購入して、時刻表見間違えて小淵沢と大月に寄れず上諏訪からまっすぐ帰途に就きました。かみさんが16時に鍼灸マッサージの予約を入れてしまったためです。(聞いたときの会話:「アホ!30日は一日中央線の駅弁下調べするって言っただろーが!」「中央線でしょ!高尾までだったら夕方に帰って来られるでしょ!」その時は説明するのを諦めました。^^;)かみさん留守中のぞみの相手をしてやって、かみさんの帰宅を待って車を点検に持って行き、戻って夕食。買い溜めた駅弁を片付けました。
  7月1日(日)朝8:30なんと勤め先の目と鼻の先で集合。しかもロケバスの中には知ってる顔が……しかもしかもゼッケンには金色の縁取り。「ひょっとしてホリホリさん、前回チャンピオン……!?」「へへ、そうなんです。」びっくり!「きんちゃんの駅弁倶楽部」
常連のホリホリさん(現:「ホリ」さん)でした。更に以前手紙のやり取りがあった「駅辨博物館」の管理人、まるす氏のお顔も。斯くして始まった第1ラウンド、第1問は勤め先の目の前で早押し、あっさり落してしまいました。ホリホリ氏「うーん、これかと思った。」「あ、俺も。」ホリホリ氏が手にしてたのは新宿駅限定あずさ弁当。時間調整で喫茶店に入って後、特急「あずさ」で大月へ。今回は大久保駅などホームでの事故が続発した後だったため、JR駅構内や車内は撮影許可が下りず、移動中カメラが回せないということになってしまったそうで(その為しなの鉄道で収録ということになったらしい)、移動中はスタッフから戴いたJダイナー東海の弁当をぱくついていました。もちろんみなさん「どうせなら駅弁マークの付いたのを食べたいなあ。」などと言いながら。

  大月での第2問は10人のおばさんの中から本物の売り場のおばさんを当てるという出題で、それこそ前日下見してればできた問題でした。当てずっぽうでまたまた落して0点のまま。そのままマイクロバスで酒造会社がやっているドライブインへ移動し(以降この日の移動は全てマイクロバスでした)、桂川館「ほろほろランチ」に入れられているワインはどれか、というテイスティングの問題で3問目、実はこのお弁当を今に至るも入手してないんでこれまた当てずっぽうで落しました。ここまでで0点は私一人という状態に。

  第4問は甲府駅前。セッティングがあるのでまたまた喫茶店で時間をつぶすことになりましたが、最初入ったマクドナルドでは店員さんがびびって「どういうご用件でしょうか?」ときた。一同爆笑、そりゃそうだ、ゼッケン付けたままだったから。呼ばれて駅前の信玄公像前で早押し、ここで武田本陣弁当のシシャモがわからず(事前に勉強したデータでは雑魚だと思ってた)、またまた落して最下位驀進。

  小淵沢へ移動して5問目。有名な「元気甲斐」の間違い探し。これは消去法で、まず一の膳の下敷きの葉っぱ、これは端から1枚しか出てなかったから、笹でなくて本当は朴の葉だと気が付きました。更に二の膳に「緑色」が足りないのに気付き、これもどうにか分かって、この2点を書いたら、なんと私だけ正解。飛び上がって大喜びしちゃったもんで、スタッフ一同大爆笑。続いて6問目の用意の間、本日3回目のアイスコーヒーとなりました。6問目は「このオバサンがさっきまで食べてた駅弁の名前を当てる」という早押しで、これまた落してしまいましたが、「んじゃウケ狙いの画も撮っておこう」というスタッフにのせられて、決着が付いた後になって出題のおばさんの指に付いた味噌を指ごと舐めてしまった私。(放映されませんでしたけど。)

  続く撮影地は松本。お城の前での第7問は多少予想していた「掛け紙にあるものの写真をポラロイドカメラで撮ってきて、駅弁の名前と一緒に答えて下さい」という問題で、タクシーの運転士さん(女性)に「白樺のあるところ」と頼んだら会社に無線で問い合わせ、他の車からも問い合わせがあったもんだから「お前らみんなして何やってんだ、白樺、白樺って!?」と無線の向こうから声が。時間ギリギリに帰ってきたはいいものの、困ったことに2つ出題された弁当のうち、1つの名前が思い出せません。(掛け紙の様子まで覚えていたのに。)それで写真は合っていたのに、名前が間違って落してしまいました。どうも「うろ覚え」が多くて。

夜も更けて長野市に入り、ナカジマ会館で遅い夕食の後、これまた予想していた「川中島合戦笹ずし」の並べ替えという問題で、覚えていたのでどうにかクリア。この結果、私とまるす氏が同点最下位になり、目隠しして食材に触って駅弁名を当てるという早押しでプレーオフになりました。お稲荷さんとしかわからないうちにまるす氏が正解してしまいました。(ちなみに正確にはお稲荷さんではなく、中味が蕎麦なのです。)斯くして7月2日午前1時過ぎ、私の初戦敗退と決したのでした。夜遅すぎて「脱落者帰るの図」の撮影が無かったのも残念。勝ち抜けの方々共々駅へ行って到着のシーンだけ撮影し、そのまま皆さんと一緒に泊りました。

  2日は朝から撮影隊に同行、ホリホリ氏がデジカメを持ってらしたので、それを預かってサポーター(?)になりました。早速長野駅で駅弁を買って、勝ち残った4人に見せながらパクつき、「工場で食うよりうまいぞお!」と私が言ったもんだからまたまたスタッフ大爆笑。5つの駅に問題が用意され、2問正解で小諸駅に乗り込み最終問題に挑むという趣向で、ホリホリ氏に付いて「元祖」(食材の切れっ端から駅弁名を当てる)と変わった容器の問題を見物、これなら俺でも分かったかななどと思っているうちホリホリ氏・まるす氏・シズラー氏が小諸駅へ。トドメの問題はあの電話でも聞かれた「横川の釜飯を再現する」という設問で、ホリホリ氏がそのまま一抜けし、二人でハイタッチ。そして後のお二方の様子を見てて、ホリホリ氏と二人して「あちゃー」という表情をしてしまい、スタッフからダメ出しが。そうです、峠の釜めしの椎茸は2枚入ってます。二人が「挑戦権獲得問題」へと引き返す間、違う場所の2問を選んで入れ違いにやってきた小島先生が二抜け。暫く到着する列車がないのでお昼にしようということになり、司会者の彦麻呂氏と勝ち抜いた2人が駅そばを食べるという映像を収録。チラリと放映されてましたが(「3人目は誰が来ると思う〜?」と言いながら彦麻呂氏が蕎麦をすすってました)、実はそのすぐ後ろで私も食べてたんです。このそば屋さん、駅売りを辞めてしまったはずの小諸の駅弁屋さんでして、駅弁自体は上田で販売を継続しており、「んじゃ、頼んだら持って来てもらえる?」と聞いたらOKとのこと。まだ食べてない「すきやき弁当」をゲットし、またまた皆に見せびらかして食べておりました。

  再びシズラー氏が戻って、滋野の駅で選んだ「温かい駅弁」を小諸までに食べ終えて名前を答えるという設問に挑戦、間違えてしまい、またまた引き返しました。その後、まるす氏も同じパターンで引き返すハメになり(この部分放映されず)、結局シズラー氏が別の問題をクリアして小諸で再挑戦するもまた椎茸が1枚で間違い、その間にまるす氏が戻って来られず時間切れ、またまたまるす氏今度はシズラー氏とプレーオフという展開に。早押しで(出題は「ヘルシーだチョーン」)マルス氏勝ち残り。ちなみにこのプレーオフ用には幻の「峠のそば弁当」の容器も用意してあったのですが、使われませんでしたね。(しっかりもらって来た私。)みんなで小諸の宿屋へ移動し、長野に置き放しだった荷物を受け取って、先に帰るスタッフとシズラー氏と私、合わせて6人で上田駅にバスで移動しました。夕食時ですが30分くらいしかありません。コーヒーだけ飲んで、みんなで駅弁を買いこんで新幹線の乗客となった次第。……考えたらこの日は私3食駅弁だったわけだ。


  30日の下調べの時、時刻表見間違えたにしても、16時ってのが無きゃ大月寄って来たんだよなあ。そうしたら大月の駅のおばさんを見ていただろうし、土曜なので「ほろほろ」もゲットしたであろうから、2問目ないし3問目を得点して、初日は4位で抜けてたはずなんだが。あれ、でもその場合まるす氏が1ラウンド落ち?……その後の勝負はどうなったでしょうか。イヤー人生って本当に分からんもんですね。「かみさんの鍼灸の予約がなければ勝負はどうなってたか」。

  (そもそも、こういう番組からお声が掛かる位の奴のかみさんが、中央線の駅弁と言われて「高尾まで」としか思い浮かばないというのが問題なんだけど、でもまあアンズを覚えてたし、「それは旦那の教育が悪い!」という意見もありまして、せめてのぞみはそうならない様に育てよっと。)

  それにしても、撮影中以外はみんなで次の出題を予想してみたり、ワイワイと楽しい時間を過ごさせていただきました。翌々日メールが。「さっちゃんとシズラーさんに『浮かばれない』と言われたのでがんばりました。結果、『浮かばれる』ことになりましたよ!放映まではナイショにする、と言う条件で、お二人にだけ明かしていいとスタッフの方から許可をもらいました。」まるすさんからでした。

 

  放送の順序とは反対に、競技(?)が終ってからプロフィール撮影がありまして、休暇を取って対応すべく決めていたところ、間際になって会社での仕事の様子も撮らせて欲しい旨申し入れがありました。あわてて上司に相談したら本人以上に乗り気になって、二人してあちこちに掛け合った結果、

 総務課長「いいでしょう。」

 所属部長「ここ引越中で汚いから、総務かどっかのきれいなところ借りてやったら?」

 広報部長「報道じゃなくてバラエティだね?いいけど、君だけ撮影の前に床屋行っといた方がいいぞ。」

 楽しい職場だ^^;。斯くして7月9日朝、会社にカメラがやってきました。上司を始め皆さん協力して頂き無事終了。上司へインタビューもあったのですが、放映されなかったみたいですね。

  午後からは我が家に舞台を移し、まずコレクションの山を撮影。実際は箱にしまってあるものを家の中に所狭しと飾って撮影し、続いてかみさんがコレクションを捨てようとした話とか、のぞみのお食初めが赤飯弁当だったこととかの映像を撮影しました。(後者は使用されませんでした。)ちなみにどちらも実話。

 更に「んじゃ、幾つか質問しますんで、答えて下さい。」ということになり、
 「あなたにとって駅弁とは?」
 「駅弁屋さんが少なくなってきてると思いますか?」
 というのはともかく、
 「奥さんと駅弁、どっちが大事ですか?」
  という質問も出て来ました。なんと答えたか忘れました。このシークエンスも丸々使われず終いでしたね。

  最後に、玄関のところに青いシートを貼って、その前で駅弁を掲げてブルーバック(クロマキー)合成のための画を撮影し、かれこれ2時間くらいで完了いたしました。

 

後日談1。同年9月、「きんちゃんの駅弁倶楽部」の飛騨路オフでシズラー氏と再会。

後日談2。放映日、テレビを見て例の徳川埋蔵金弁当(同年の京王駅弁大会で¥20,000だったやつ)のことがかみさんにバレてしまい、「これ何よ!?」

後日談3。放映後、テレビ東京のホームページ概要が掲載されておりました 。

 

「さっちゃんち」トップページへ戻る