映画「A.I.」のメッセージ(個人的考察)
H13.7.9
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スピルバーグ監督の話題の映画「A.I.」(Artificial Intelligence)を見ました。
あまり喋りすぎるとこれから見る方の楽しみがなくなるのでひかえますが
2時間半の中でスピルバーグ監督はいったい何を伝えたかったのか。。。。
きっと見る人によって様々でしょうね。
私も最初は「???」だったのですが、これを書きながら
私なりに彼はこれがいいたかったのかな?・・・と思いあたるものがありました。

・・・・・・・・・・・・・・

まず設定ですが、映画はエンターテイメントなのですから 
ある程度の矛盾は仕方ないと思います。
しかし、それでもこの映画は男性の目から撮った映画だな・・と思ったのも事実です。
つまり母性愛というものが無視されているのではないかという気がしたのです。
私が もしもあのような立場の女性だったならば・・・・
おそらく子供のロボットを受け入れることはしなかったでしょう。

何故なら、まず第一に自分は年々歳をとっていくのに
ロボットはいつまでも子供のままだから・・・
子供の成長を見たいと思うのが親の自然な感情だと思うのです。。。。

第二にロボットでは人間と同じ食べ物を食べられないということ。
肌の感触も表情も人間と寸分変わらないロボットなんですよ。
愛する子供には自分の作ったものを食べさせてあげたい、
「美味しい!」と言って子供が自分の手料理っを食べてくれるのを見たいと思う
それが母親なのでは?

第三には いつかはやってくる別れの時をどう迎えるか・・・
こんなにも人間にそっくりなロボットをいらなくなったからといって
無感情に廃棄できるわけがないのです。
動物なら寿命というものがあり、それを受け入れていくこともできるけど
ロボットには・・・
 
案の定、中間部で「A.I.」を手放すことになるのですが
手放してからの家族、特に母親の気持ちを描いてないのは片手落ちだと思うのです。
きっと彼女は後悔したと思う。「マミー、愛してる」といってくれた子供ですよ。
それを猫や犬を遠い山の中に置いてけぼりにするように・・・・
猫や犬にさえ、そのような仕打ちをして後悔しない人がいるでしょうか?
そんな気持ちを抱いて生きて行かなきゃいけない彼女の辛さはどうなったの?

・・・・・100歩譲って・・・・

実はその場面からはロボットの感情というものにスポットがあてられることになる。
そして、「A.I.」は自分が何者であるかを探しに旅に出る。

・・・そういう事にしましょう。・・・

 愛するという感情を持つことは絶望という感情も持つことにもなる。
あるシーンを見てそう思ったのでした。切なかったですね。
まさに、中間部からは未来版「ピノキオ」とも言えるでしょう。
キューブリックがこの作品をそう呼んでいたように。。。

このロボット・ピノキオは最後に一瞬、彼の願い「母の愛」を手に入れることができました。
それだけでも救いでしたが、
見ている人にとって最後の30分間・・・2000年という時間の流れに戸惑った人も多いはず。
私も見た直後はどうしてあの時間の流れが必要なのかがわからなかった。
でもね、実はあの超ロボット(?・・・宇宙人だと思った・・・)が
愛するマミーを甦らせたい「A.I.」に語った言葉が
私にはスピルバーグのメッセージのような気がしたのです。

「人間の宇宙時間は1回だけのものなんだよ。人間を甦らせることはできないだ」

この言葉は私達人類に向かって言っているのではないかと・・・

人間のような感情を持つロボットを作ることは確かに夢であり、
技術的にそれ程難しいことではないのかもしれません。
しかしながら、そのようなロボットの存在は
人間というものの、“生”というものの尊厳を脅かすものなのではないのか?
愛する者を無くした人の気持ちはよくわかるけれど、
その代償として感情を持つロボットを欲するということは
ロボットにとっても人間にとっても もっと哀しい想いをすることになる。
「愛」の代償を求めることはできない。

この映画にはいろいろな側面があると言われていますが
私はこの映画のメッセージをそういうふうにとらえました。

余談ですが、全編を通してスーパートイとして「A.I.」デイビッドと行動をともにする
テディ・ベアの存在がとても微笑ましかったし、
フレッド・アステアばりのステップと身のこなしを披露したジゴロ・ジョー(ジュード・ロウ)も
デイビッドへの愛と優しさに満ちていて、心休まる存在でした。
「スター・ウォーズ」のC-3PO とR2-D2のような存在かな?(笑)
そそ、格好いい未来型ヘリコプターも登場してたので
ダンナに次期ヘリにどう?って聞いたら 
あんなんじゃ飛べないし方向転換もできへん・・・・と一笑に付されました(笑)。

・・・後日追加・・・
ロボットに感情を持たせるという考え方は・・・やっぱりマズイと思うな。。。うん、マズイ。
夢ではあると思うけど。。。科学が倫理を追い越しちゃいけない・・・私の勝手な持論かな?
医学もどこまで人間の命を助けるべきなのか。。。。よくわからなくなってくるね。

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