第11話 ボクはハンター(平成6年?月)

 みなさん、ご無沙汰しております。ケン太でございます。
かあさんたら、新しいコーナーなんか作っちゃうから、ボクのことなんて全然構ってくれないんだ。そろそろ、ボクの日記も書いておかないと、いろんな事を忘れちゃうよ。光陰矢のごとし?去るもの日々に疎し? (使い方、間違ってる?)

 皆さん、僕たち猫属がどうしてネコって言うのか知ってますか? 昔はね、鳥を捕るのがトコ、へびを獲捕るのがヘコ、ネズミを捕るのがネコだったんだって。人間の食料である穀物をネズミから守るネコが一番可愛がられた? イギリスからアメリカへ移住する時に船の中でネズミを捕るためにネコを連れていったんだってね。ボクの血に流れているアメリカン・ショートヘアーというネコはこうやってアメリカへ渡ったネコなんだって・・・。
 だからね、ボクにもちゃんとハンターとしての血がしっかり流れているのさ。別に誰に教わったわけでもないけど、ベランダに出てはカマキリを捕まえたり、コオロギを捕まえたり、を捕まえたりしては、かあさんに見せてたんだ。かあさんはその度に「うわぁ〜!」って驚いてた。たまには誉めてくれよ、かあさん♪ (はいはい、良くやった!良くやった!・・・これでイイかい?) 時には赤い足のムカデにちょっかいを出そうとして叱られたこともあるよ。「刺されたらどうするのーっ!」ってね。そういえばムカデはかあさんが割り箸で挟んで洗剤を入れた袋にいれて退治してたな。父さんは苦手なんだ、ああいう虫。へへへ。

 ある夏の早朝、ボクはかあさんに頼んでいつものようにベランダに出して貰った。しばらくしてボクはまた獲物をくわえて寝室の前に持っていったんだ。母さんはバタッという音を聞いて寝室のドアを開け、暗闇に何か黒いものを見つけた。「もう、ケン太はゴキブリなんか捕ってきて〜!」と思ったらしい。ところが電気をつけて、かあさんが見たものは・・・・ナス紺色の子ツバメだったのさ。
 最初は動かなかった子ツバメだったけど、バタバタと羽根をふるわせるとボクはまた飛びかかっていった。かあさんにはボクが子ツバメをいたぶっているように見えたんだって。あとでかあさんが言っていた・・・・・この時ほどボクが憎らしく思えた時はなかった・・・・・ってね。かあさんもどうしてイイかわからない。とりあえず壁にすがるように丸く小さくなっている子ツバメとボクの間に書類カバンを入れて、ボクから子ツバメを隠したんだ。ボクの目の前で触ろうとするとボクが飛びかかるから・・・。そしてボクを抱きかかえて寝室に入れ、目の前でドアをガチャンと閉めてしまった。ボクはわけもわからず、(?_?)状態で泣き叫んでいた。それでもかあさんはボクを無視してカバンと壁の間で小さくなっている子ツバメを拾い上げたんだって。子ツバメはかあさんの手の中で怯えた目をして恐怖に震えていたらしい。かあさんはどうなるかわからないけど、その子ツバメをベランダから空へ、そっと投げあげたんだと。。。そしたら子ツバメは薄明かりの空へ、なんとか飛んで行ったらしいよ。かあさんはホッとしたんだって。
 それから寝室のドアを開けてくれた。ボクは子ツバメがいたあたりをクンクンにおってみたけど子ツバメの姿を探し出せなかった。

 その年は、マンションの下の階の屋根にツバメが巣を作っていたんだ。やっと空を飛べるようになった子ツバメちゃんが、うちのベランダに迷い込んできたところをボクが捕まえたんだよ。そういえばボクがベランダから屋根に降りると、いつも親ツバメ達がスクランブル攻撃をしかけてきてたね。でも翌年からはもうそこに巣を作らなくなってしまった。

 実は翌年には今度はベランダに迷い込んできた子雀を捕まえて、父さんとかあさんに見せたんだ。今度は「よく捕まえたね〜!」と誉めてくれた。でもやっぱりボクは寝室に閉じこめられて、その間に子雀は父さんが放してやったんだ。

 どう? 箱入り息子のボクにだってちゃんとハンターの血は流れているんだ。でも鳥を捕まえてきたのはその2回だけ。最近じゃ身体が重くて思うように飛びかかれないんだよ。ダイエットしなきゃいけないかな?(笑)

写真: ボクと豹の縫いぐるみのレオーネです。ボクが捕ってきたわけじゃないよ。母さんがイタリアのドライブ・インでボクへのお土産に買ってきてくれたんだ。20000リラ(1600円くらい)って値札がまだついてます。因みに made in China です。。。。あのさあ、豹はレオパルドだよね、レオーネってライオンのことじゃん。。イイノ♪イイノ♪(←かあさんの声)