POEM...

   風の詩(うた)    
       

風はいつも私の傍にいた
私を 慈しむように 勇気づけるように 


【4月】
鳥たちの 軽やかな声が聞こえる
かすかに薫る桜の花びら
薄絹のような花びらを
優しい風が 運んできた
私の髪に 頬に そして 唇に 


【5月】
ミツバチの 羽音が 聞こえる
レンゲの花の 藤の花々の間を 
楽しげに飛び交う ミツバチたち
風は甘く 優しく そして緑色に薫っていた


【6月】
クチナシの濃密な薫り 
紫陽花の豊満な肢体
涙をいっぱい溜めた風が 
たゆとうように忍び込み
私の頬をしっとりと撫でた


【7月】
外は驟雨なのだろうか 
海は青いだろうか
太陽は眩しいだろうか
月は輝いているだろうか
星は煌めいているだろうか 
風は元気だろうか 歌っているのだろうか


【8月】
人々のざわめきの中に 下駄の渇いた音が聞こえる
夜空にはじける花火の音が 窓ガラスを揺するたびに
お腹の中の 小さな命も 嬉しそうに飛び跳ねる
私はあなたに寄り添って花火を見ている
風に汗の匂いがした


【9月】
アブラゼミの大合唱は 
いつしか ひぐらしの哀しげな声に代わり
朝方 開いた窓から忍び込んだ透明な風は
私に季節の移ろいを 時の流れを教えてくれた


【10月】
野分がたち 窓硝子を激しく揺さぶっている
風よ 苦しまないで 私はここにいる
風よ 悲しまないで 小さな命も呼んでいる
その日 いつまでも 風は泣いていた


【11月】
木々の葉は 紅や黄に 色づいたのかしら
赤や紫の木の実は 鳥たちの口に入ったのかしら
山の錦を見てきた風は 楽しそうに笑っていた


【12月】
あれからどれくらい経ったのだろう
遠く 街から鈴の音も聞こえてくる
大天使ガブリエルが マリアに受胎を告げ 
御子が 生まれ出るまで 守ったように
私は この新しい命を守り育ててきた
『今こそ その時・・・・・』
風に乗って運ばれてきた冷たいものが 私の頬に触れ
瞬間 温かく溶けた 愛しい人の涙のように


私も 風になろう
花々の間を 木々の間を 
川の上を 海の上を 山々を 星々を巡って
いつしか 白い羽根に


作: み〜

3月20日 理得の誕生日に旅立ったユーリが
病院で二人の赤ちゃんを、ひとり守り育てている理得のもとへ
風となって訪れるという設定で、放送終了時から12月まで少しずつ書きためました。
本当は こんな所に載せるのは恥ずかしいのですが。。。


Lux aeterna
(永遠の光)

Lux aeterna luceat eis,Domine;
Cum sanctis tuis in aeternum,
quia pius es.
Requiem aeternam dona eis,Domine,
et lux perpetua luceat eis.

  *************
                
永遠の光を 主よ 彼らの上に照らし給え
とこしえに あなたの聖者らと共に
あなたは慈しみ深いお方ゆえに。
永遠の安息を 主よ 彼らに与え給え
而して たえざる光を 彼らの上に照らし給え
              

 (死者のためのミサ曲<レクイエム>より)


毎回ドラマの最初に流れるテーマ曲「Forbidden Love」と二人の姿
その終わりのほうでドラマのシンボル・マークの後方
流れる雲間に射し込む幾筋かの光が見えます・・・
私はいつも<Lux aeterna(永遠の光)>という言葉を思い浮かべていました。
12月25日、二人の赤ちゃんを産んだ理得はユーリと手をとりあって
あの“永遠の光”に導かれ 「天国(パラディーズス)」へ・・・私のImageです。

上の詞はモーツァルト、ヴェルディ、フォーレなどの有名な「レクイエム」の中に出てくる
死者のための祈り、ラテン語固有文の一部です。
<Lux(ルクス)>は“光”  <aeterna(エテルナ)>は“永遠の” という意味。


平和への祈り

主よ 私を
あなたの平和の道具としてお使いください。
憎しみのあるところに愛を
いさかいのあるところに赦しを
分裂のあるところに一致を
迷いのあるところに信仰を
誤りのあるところに真理を
絶望のあるところに希望を
闇のあるところに光を
悲しみのあるところに喜びを もたらすものとしてください。

主よ 私に
慰められることよりも慰めることを
理解されることよりも理解することを
愛されることよりも愛することを 望ませてください。
なぜなら私が受けるのは与えることにおいてであり
許されるのは許すことにおいてであり
我々が永遠の命に生まれるのは死においてであるからです。


(アッシジの聖フランチェスコによる「平和への祈り」)



わたしには「ユーリと理得」の祈りのようにも思えるのですが・・・
アッシジの聖フランチェスコは12世紀、
イタリアはウンブリア地方にあるアッシジという町で
イタリア人の父とフランス人の母の間に生まれました。
のちに、清貧・勤勉・従順を説くフランチェスコ修道会を設立し
イタリア・ルネサンスの精神的な礎を築いた人とも言われています。