平成15年4月10日撮影
樹齢1500余年とも言われるヒガンザクラで国指定天然記念物である。 散りぎわの花の色が淡い墨を引いたような色合いになることからこの名がついているという。 同じ県内に居を構えているにもかかわらず 見物客の多さに、これまで一度もその桜を愛でたことがなかったのだが たまたま前日のTV情報で今年は今が満開と知り 天候に恵まれたこの日、愛車で出かけることにした。
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車のナビに導かれ、根尾村に通じるメイン道、国道157号線を迂回しながら 岐阜市の北を西に向かう。 途中、山と山に挟まれ猫の額ほどの田圃を見下ろす崖に 盛りを過ぎた大きな桜の木を数本見つけた。 穏やかな春の陽射しのもと、苗代の準備をしている村人を見下ろしているサクラだった。
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あちらの山にも、こちらの山にも桜が・・・・・ 本当に山が笑っているように見えるから不思議だ。 そんな「山笑う」美濃路を銀色のエスティマで走り抜けること2時間 やっと根尾村に到着・・・すでに「薄墨桜」見物の車列は出来上がっており 交通整理係員の指示に従って、車は粛々と臨時村営駐車場へと進んでいく。
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ちなみに駐車料金は400円也。 車を降り 人がゾロゾロと歩いて行く方向へついて行く。 公園までの細い坂には屋台がズラリ・・・ 人が集まる所に例外なく見られる光景とは言え、 違和感を覚えるのは私だけだろうか? ・・・・・・ そんなことを考えながら歩いてる間に薄墨公園に到着。 公園には「薄墨桜」以外にも、ソメイヨシノ等の桜の木が何本もある。 すでに見物客が大勢訪れていたが、きっと週末の賑わいほどではなかっただろう。 ・・・・・・・・
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枝を支えている添木の多さが、この老木の生き様を物語る。 ・・・・・・ 花弁は小さく、色はほのかなピンク色 満開といえども樹勢盛んな桜の絢爛豪華さはない。 けれど、凛とした気配が穏やかな春の陽射しの中に漂う・・・ 何本もの添木の下で 誰にも気づかれずに 一生懸命生きようともがいている桜の根が・・・貴方にも見えるだろうか?
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あの太い根幹に、はたして年輪は残っているのか… すでに空洞化が進んでいるのではないのか… それでも残された管を伝って命は外へ漲ろうとしている。 そんな老木の後ろ姿は、また一層けなげだ。 数人の画家が遠い位置から その姿を画布に留めようとしていた。 彼らと同じ目線で桜の後ろ姿を見る・・・・・
向こうに見えるのは雪をいただく「能郷白山」。 古くからこの地の人々が崇めてきた白山信仰の霊山であり 「薄墨桜」、下を流れる根尾川とともに 時の流れを静かに見つめてきた。 この山を渡ってくる風は4月と言えど、まだまだ冷たい。 ・・・・・・・・・・・
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1500年という幽玄の時を超えた桜の精の乱舞を… -散る花を惜しむ心やとどまりて また来ん春のたねになるべき- <西行>
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