Im Abendrot
夕暮れの中で



Wir sind durch Not und Freude
Gegangen Hand in Hand.
Vom Wandern ruhn wir (beide)
Nun uberm stillen Land.

Rings sich die Ta:ler neigen,
Es dunkelt schon die Luft,
Zwei Lerchen nur noch steigen
Nachtraumend in den Duft.

Tritt her und lass sie schwirren,
Bald ist es Schlafenszeit,
Dass wir uns nicht verirren
In dieser Einsamkeit.

O weiter, stiller Friede!
So tief im Abendrot.
Wie sind wir wandermude -
Ist dies etwa der Tod?

注)表記上の問題でウムラウトを省略


   私達は苦しい時も 楽しい時も
   手に手をとって歩んできた
   旅の歩みをとめ 私達(二人)はやすらう
   今 静かな田園を見わたしながら


   私達のまわりで 谷が傾き
   空はすでに暮れかけている
   二羽のひばりだけが 舞い上がったままだ
   夕もやの中に 夜を夢みて


   こちらへおいで ひばりにはさえずらせておこう
   やがてすぐに眠りの時間がやってくる
   私達は このさびしさの中で 
   お互いにはぐれないようにしよう


   おお なんと広くて 静かな平和だろう!
   これほどまでに深い夕暮れにつつまれて。
   旅の疲れが私達をおそってきたようだ
   これが もしかしたら 死なのだろうか?


詩: Joseph von Eichendorff (1788年-1857年)
日本語訳: み〜(無断転載をお断りします)


Richart Strauss(1864-1948)が死の前年に書いた「四つの最後の歌」の4曲目。
ソプラノとオーケストラのための曲で、まさに“白鳥の歌”と言える曲集の最後の歌。
ドイツの詩において“眠り”は“死”と同義語なのだそうです。
美しく雄大な前奏によっていつしか私達も夕暮れの迫った風景の中に・・・
夕もやの中に舞い上がってさえずり続けるひばりは この二人なのでしょう。
そうそう、最後の「Tod?(死)」の音はC♭…つまり固定ドで読むと「シ」=死(?)
単なる偶然なのでしょうが・・・
ソプラノが歌い終わったあと 夕闇が降りてくるような弦の音の中で
管楽器によるヒバリのさえずりが最後まで続いています。
もしかしたらこのひばりが夜に甘い声で啼く小夜啼鳥(ナイチンゲール)になったのかも
・・・・・・いえいえ、他愛もない夢想(トロイメライ)ですので。


…人生の最後をこの曲で安らかに迎えたい…
そう思う人も多い曲です。
いつかMIDIを載せたいと思っていますが・・