Gijie 2006年2月号
秋田県冬季解禁のサクラマス(雄物川編)
平成17年11月23日寄稿
秋田県において、冬季にサクラマス釣りが可能な期間は、11月1日から2月末日まで
の4ヶ月間である(秋田県内水面漁業調整規則第25条)。夏期に比べてネガティブな要
因が多いことから、フィールドに向かうまでに内なる自分と格闘しているアングラーは、
私だけではないと想像する。ここでは、今まで釣行に二の足を踏んでいた方々が、葛藤に
打ち勝つための情報を提供したい。そして、多くのアングラーが、雪上に輝く「早咲きの
サクラ」に出会うための一助となれば幸いである。
1.2005年の実績
私自身は、1月から2月末までの2ヶ月間に早朝主体で8回釣行し、サクラマスからコ
ンタクトがあったのは2日、4バイト3ヒット2ゲットで63cmと57cmを手にした。
自身の釣果、及び直接的間接的に集めた情報では、1月から2月末までの釣果は23尾で
あるが、それ以外にも多数釣果があったに違いない。実際、1月末時点で「既に2桁釣っ
た」という噂を耳にしているが、前記の釣果尾数には含まれていない。こうしてみると結
構釣れているが、確率は決して高くないため、「釣れる可能性が高い条件」を炙り出すた
めにデータ整理を継続している。
2.「アングラーに優しい日」を狙え
実は、前記の23尾のサクラマスは、ある程度集中して釣られている。厳寒期にサクラ
マスを狙うアングラーは少ないため、特定曜日に釣果が偏ってしまうことは承知のうえで、
23尾の釣果から「釣れる可能性が高い条件」を検証してみたい。
1月1日から2月末までの水温と水位(椿川;河口から13.1km地点)、及び釣果
があった日をグラフ化したのが図1であり、「水温が上昇傾向の日」に圧倒的に釣果が出
ていることが分かる。つまり、水温を押し上げる「比較的暖かい日」というアングラーに
も優しい日が、狙い目となると考えて良いだろう。


図1に示した釣果があった12日のうち、3尾以上のヒットが確認できている日をピッ
クアップし、前日からの48時間の水温変化をグラフ化したのが図2である。尚、私自身
が3ヒットを経験した1月29日のグラフには、ヒット時間に★印をプロットしている。
好釣したこの3日は、水温が朝から上昇し続けていることが読み取れ、「前日同時刻より
も水温が高く、当日も上昇傾向にある」ことは、間違いなく好条件と言えよう。
更に、「可能性が高い時間帯」について、1月29日の実釣状況から掘り下げてみたい。
この日は、晴天無風で、まさに「比較的暖かい日」であった。7時から16時まで、ほぼ
無休憩でキャストしていたが、ヒット時間は9:50、13:30、及び14:00とタイミングを
意識せざるを得ない結果となった。これは偶然かもしれないが、尻別川支流目名川に
おいて観察されたサクラマス遡上が活発化する時間帯、及び遡上数がピークとなる時間帯
(さけ・ます資源管理センターニュースNO.13;2004年9月)とほぼ符合することが最近
判明した。
これらは絶対的な条件ではないが、可能性が高い日、時間帯を信じてモチベーションを
維持すれば、結果的にサクラマスに近づくことになる、と私は考えている。
3.「雪に逆らわない」ポイント選定
サクラマスの遡上ルートと流速との間には相関関係があり、より流速が早いルートを選
択する傾向があるらしい(前記文献)。この流速を考慮してポイント選定するならば、
「流心が寄っている側」ということになろう。実際、実績があるポイントはまさに流心側
に集中している。具体的にポイントを上げるとすると、下流から順に次の3カ所となろう。
@雄物新橋下流の堰下(右岸側)
A秋田大橋上下流(右岸側)
B秋田南大橋上流(右岸側)
安全性、実績、及びポイントの絞り易さを優先すれば、Aが一番のお奨めである。Bは積
雪状況に左右される難儀なポイントであり、Bより上流域は莫大な積雪が恐ろしくて冬季
は足を踏み入れたことがない。
4.「凍結覚悟」のタックル選定
一般的なサクラマスタックルがそのまま使えるが、凍結は必至のためPEラインの使用
は避けたい。また、強風対策や底狙いを視野に入れると20g以上のスプーンを使う場面
も多いので、少し強めのタックルが良いかもしれない。私のタックルは、飛距離と感度を
重視した結果、次の通りとなっている。
@ロッド:ufmウエダCPS-832FXTi、又は同SST-82H
Aリール:ダイワ セルテート2500
Bライン:サンライン FCベーシック6LB(先端ダブルライン)
Cルアー:スプーン17g〜23g、ミノー9cm〜12cm(レンジ別に)
使用ルアーやメソッドは、個人の好みやスタイルが一番重要であると考えている。足先
や指先のかじかみ、そして吹雪が瞬く間にモチベーションを剥ぎ取っていく。これに対抗
できるのは、「自己の釣りスタイル」だけだ。スプーンであれ、ミノーであれ、自分が信
じたルアー、好きなカラーを使って少しでも楽しめるよう、自分自身をコントロールする
ことがタックル以上に釣果を左右する要素と確信する。小技は各種あるが、寒さが微妙な
コントロールを許さないので、私はリフト&フォール、スローリトリーブをメインにして
いる。因みに、1月29日の3ヒットは、スプーン(金/緑)のスローリトリーブが1回、
リフト&フォールが1回、シンキングペンシル(グローベース)のスローリトリーブが1
回で、全て低層でのヒットであった。
以上、自分の経験、周辺情報、文献情報を交えて冬季のサクラマスについて整理してみ
た。最後に、安全性の担保、規則等の遵守だけは是非ともお願いしたい。これらは、大人
の遊びを嗜むうえでの最低限のルールであり、蔑ろにすればいずれは自分達に返ってくる。
今年もまた、内水面漁業調整規則を読み返しつつ、ポイントを下見する季節がやってきた。
寄稿後の後日談
−今シーズンの結果−
今年も昨年と同じ時間帯にヒットした。偶然かもしれないが、両日とも大潮前の中潮初日であった。
2月11日 13:40 60cm imaサスケ裂波(サバ/グリーンバック&オレンジベリー)
2月26日 9:30 57cm ima魚道110MD(ゴールドチャート)
今年、ポイント選定の条件としたのは以下の3点である。
1.流心が寄っている側で、流心の向こうにルアーを届けられること
2.ストラクチャーがあること
3.アングラーが少なくプレッシャーがないこと
この条件のポイントで、とにかく休むことなくキャストを繰り返す。
ポイントが遠くても歩く、
雪が深くてもめげない、
足先や指先が冷たくても耐える、
移動はおろか、立ち位置さえも変えない、
そういうスタンスが今年の結果をもたらした。2尾の価値は自分自身だけが知っている・・・。