読売新聞 昭和20年2月11日 日曜日 07.4.1
飛燕の猛攻に潰乱 敵同士で空中衝突 醜体曝すB29の断末魔 【某基地にて北條特派員発】


 二、三日来開東地区一円の偵察を試みていた敵B29は果せるかな十日十三時半ごろ五梯団約九十機の大編隊をもって群馬県太田地方を目標に防総半島東方から続々皇土に侵入した。

 この日某基地の飛燕戦闘隊は長駆敵進路上空に邀撃陣を張った。十四時四十二分悠々と房総上空に侵入した第一目標が千葉県手賀沼上空を通過せんとしたのを発見した
S大尉は、この編隊右側機を前方攻撃をもってまづ血祭りにあげて撃墜すれば、ついで中尉は十五時五分から同十五分の間に僚機M伍長とともに霞ケ浦上空附近で敵の三目標に三回に亙りL猛烈な攻撃をかけて一機撃墜、三機撃破の戦果をあげ、さらに同時刻A曹長また高度八千五百をもって下館上空を太田方面に向けて西進する敵九機編隊を捕捉し、中央機目がけて狂烈な一斉砲火を浴せ見事に撃墜、敵は銚子東方に猛烈な火を吐いて真逆様に墜落。この日の戦果は撃墜六機、撃破数機であった。

 このほかわが戦闘機の集中攻撃によって敵の編隊は支離滅裂となり、目標地の爆撃意の如くならずして遁走せんとしたが、計らずもわが攻撃によって面食らった敵同士が空中衝突し火を吐いて二機とも敢ない最期を遂げた。
 この敵機は十四時四十五分太田と栗橋の中間にかかった九機編隊で、同編隊の指揮官機の爆弾倉が火を吐いた。これに驚いた同機がガクッと機首をあげるやこれに気付かなかった右側の敵B29の僚機がこの編隊長機の上に激突し一機はエンジンから火を吐き指揮官機は尾翼をフラフラにして、いづれもグングン高度を下げて墜落したのだった。
(以下略)


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