読売新聞 昭和20年1月13日 土曜日
若鷲に散髪慰問 陸相夫人を先頭 お母さん部隊 07.3.10
(高山少尉の頭を刈る杉山陸相夫人の写真掲載)


 日婦会員の夫人たち十余人の素人床屋さんが十二日あさ某制空隊基地を訪れ、隊員勇士のあたまを器用に散髪した。
 お母さん部隊の主力は杉山陸相啓子夫人、日婦東京支部長徳川彰子夫人、日婦理事林喜代子夫人、伯爵廣橋規子夫人らで、皇土をお守り下さる勇士へ感謝のしるしにと三尺大の日本人形とお守りがとゞけられ、おひるは油まみれの隊員たちと一緒に兵食を食べながらB29の撃墜談に耳を傾けた。
 食後、明るい窓ぎはに椅子を持ち出して若鷲の頭を一人一人丁寧にチョキチョキと刈り込んだ。久し振りにさっぱりとした頭になった制空隊員は、「では一寸大空を翔けて来ます」と青い頭にすっぽり飛行帽をかぶって愛機へ駆けて行った。


昭和20年1月15日 月曜日
B29五機を撃墜破 中京邀撃戦制空隊奮戦 【某基地にて内藤特派員発】

 十四日のB29名古屋来襲の邀撃戦で某基地から飛立ったわが制空隊の小原中尉機は、十四時四十分ごろ浜松上空で敵八機編隊を発見、まづ二番機に攻撃をかけたが敵は遁走、さらに八番機にのしかゝるやうに真上から攻撃をかけた。小癪にも他の敵一機は八番機を掩護のため反撃を加へて来たため、小原機はこの二機を相手に痛烈な空中戦を展開、八番機は小原機の猛烈な攻撃に右内側発動機から黒煙を吐き高度をぐんぐん下げて遂に御前崎南方八十キロ遠州灘に墜落(不確実)した。

 藤井伍長機は十四時五十五分ごろ浜松南方洋上二十キロの洋上で敵八機編隊を発見、左端の敵機を攻撃、右翼つけねより黒煙を吐かせて撃破。
 十五時十分ごろ浜松南方上空で敵六機編隊を発見した市川、小川両少尉及び釘田伍長機は前側下方より、また鈴木正一伍長機は前側上方から敵を邀撃、二番機は右胴体から忽ち白煙を吐いた。

 十五時二十分ごろ天竜川河口附近上空で敵十機編隊を発見、小川少尉、太田伍長両機は前側方を攻撃、市川少尉は第二編隊の二番機を攻撃胴体下方に白煙を吐かした。この敵機は高度を若干降下しつゝ遁走、また十五時十分ごろ田村少尉機は天竜川上流上空で六機編隊を発見、前側方から攻撃を加へ第一編隊四番機の胴体の尾部を撃破、白煙を吐かし結局撃墜(不確実)一、撃破四の戦果を挙げた。


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