読売新聞 昭和20年1月4日 木曜日
B29六機海へ叩込む 殊勲三機仕止めた白井大尉 胸すく中京遊撃戦 【某基地にて北條特派員発】 07.3.10
(白井、生野、竹田、小川、鈴木、大田、梅原の顔写真掲載)


 三日名古屋方面にまたもマリアナ基地から敵機B29約九十機来襲の報に、新春の休みもなく手ぐすねひいて待ちかまへていたわが皇土直衛戦闘隊は俊翼をかって続々基地をとびたち、海上とほくこれを邀撃して猛攻また猛攻、同隊だけでたちまち六機撃墜、六機撃破といふ胸のすく戦果をあげ、撃墜六機をいづれも海中深くたゝきこんだ。

 ことに猛鷲白井大尉は単機で一機撃墜、部下機と協力二機撃墜、合計三機撃墜といふ殊勲をあげた。即ちこの日十四時すぎ浜松南方海上上空で敵機を邀へた同隊は敵編隊の真ったゞなかに突入、まづ同四十五分生野大尉が伊良湖岬南方五十キロ沖海上で敵機に猛火を吐かせ海中にたゝきこむや、続いて同四十七分浜松南方四十キロ沖上空で竹田大尉をはじめ小川清少尉、田中四郎平准尉、梅原伍長の四機がたくみな協力によって編隊中の一機を猛攻、このため敵機は火達磨となり、更に空中分解し海上に墜落した。

 一方白井大尉を長とする隊機はこれより先、十四時十九分浜松南方八十キロの洋上で敵他の編隊機を捕捉、白井大尉及び鈴木伍長、太田伍長の三機がまづ敵一機を海中にたゝきこむや更に白井大尉と鈴木伍長はわづか三分後の同二十二分、浜名湖南方約百キロの沖合上空で一機をしとめ敵機はさかとんぼとなって海中に突入した。

 獅子奮迅の白井大尉はなほも猛攻の手を休めず同二十三分、同大尉の致命的一撃をくった敵一機は黒煙を吐きつゝ次第に高度をさげて遁走せんとしたが間もなく海上に墜落、火柱をあげて海上に没入した。このほか同隊の攻撃により撃墜は確認出来なかったが撃破したもの六機にのぼり、敵の投弾は思ふにまかせずいづれも蒼皇として遁走した。


必殺の確信 訓練の戦法で勝てる・・・白井大尉談 【某基地にて鶴来特派員発】

 一機よく三機を撃墜「空の二刀流」振りを発揮した白井長雄大尉は語る
 『十三時五十八分ごろ鈴木伍長、太田伍長らと浜名湖上空九千米を飛んでいると名古屋方面から東進する敵七機編隊を発見、よき敵ござんなれと三機をもって真正面から攻撃をかけると敵の三機が忽ち発動機から火を噴き他の四機とゝもに上昇逃出したのであくまでも追尾するとそのうちB29二機が海中へ突入、ついで自分と鈴木伍長で一機、自分が一機計三機を撃墜、このほかに鈴木伍長と自分で撃破各一機の戦果を収めたがけふの戦闘は槻ね訓練通りに行った。さうして訓練通りの戦法をもってすればB29は墜し得るとの確信を得た』


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