特攻機のコールサイン 08.11.1


 沖縄戦関係資料閲覧室からダウンロードできる文書の中に、第8飛行師団司令部作成の「天一號航空作戦戦闘詳報」があります。

 下に書き出したのは、「付録其ノ一」の中にある、無線のコールサインです。特攻作戦の場合、敵に行動を悟られないために、緊急事態でもない限り航進(巡航)中は無線は発信しないのが原則でしたが、最後の突入時には、隊長がこれらの呼び名と突入機数等を一方送信するよう指導されており、対空無線隊はその電波の到来をじっと耳を澄ませて待っていました。

 同じ部隊で複数のコールサインが設定されているのは、第8飛行師団では飛行戦隊内に特攻隊が編成されましたので、特攻と直掩あるいは飛行場制空など、作戦命令毎の任務の違いによる使い分けと思われます。
 これらのコールサインは、師団の通信担当参謀が、敵が傍受しても類推できないように選んでいるのでしょうが、台湾や沖縄方面の対空無線に東京の地名がつけられているは、面白く感じます。

 この他これらの文書には、4式戦への機種改変で不要になった飛行第29戦隊のキ44(鍾馗)12機の胴体下面に250キロ爆弾を装備し、武装・防弾を撤廃する改造を施して特攻隊を編成せよとの命令もありますし、4式戦用の
95オクタン燃料が備蓄されていたことも分かります。

戦斗隊統一指揮周波数 5316Kcまたは5126Kc
 (いずれも電話。電信の例は省略)
飛行第19戦隊 かさぎかつらぎ
同特攻隊長機 かすがからくに
飛行第20戦隊 あたごにいたかつぎたか

飛行第29戦隊 せんげん
同特攻隊長機 きりしま
飛行第105戦隊 くろひめくにみ
同特攻隊長機 くらまくりこま
誠第26戦隊 きくちはぐろのりくら
同特攻隊長機 ほまれさくらじま
誠第204戦隊 あかつきたかはな

誠第16飛行隊 ほたかはくとうつくば

誠第31飛行隊 あをぎりしらたかみかさ

誠第120飛行隊 はぐろ

誠第131飛行隊 あまぎ


対空無線
石垣 ごたんだ
台中 はつしま
宮古 たまち
八塊 やまがたはるなみかつき
宜蘭 しもだ
花蓮港 いたばし
桃園 くしもと
花蓮港南 なんたい
龍澤 ふくしま



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