ダイアル・オン
 ろく
迷惑至極逃博者
〜直らぬ好みは誰がため〜



 深夜に帰宅した雪那は綾乃に説教され、またもやろくに睡眠を取らぬままで学校へと登校することになった。ちなみに資金は増えず減らず。大きく賭けて当たる、外れるが交互に来たため、結局総合的には変わらない。長めに遊べるため、雪那も賭樺もそれに満足していた。登校して普通の生活に戻る、その1日目。
「おはよー」
「応」
「雪那、よう」
「田中か。なんだ」
 席に着くと田中が話しかけてくる。こいつの表情を見れば、その時何を考えているのか大体分かる。わかりやすい奴だ。
「暇なのか」
「よくわかったな。さすがはマイ親友」
「死ね」
「ごめんなさい」
 気持ちはわからないでもない。暇なときに一番いい方法は、他人に話しかけて時間を潰すことなのだ。だが、雪那は単純に田中の暇つぶしに付き合いたくなかっただけだ。
「なあ、なんかないか」
「うるせえなあ」
 しつこく背中をつつく田中に何か言おうとして、雪那はあることを思いつく。
「そうだ」
「お!?」
「田中、お前にピッタリの場所がある」
「おお!」
 その日の夜、田中は闘技場にて死にそうな思いをすることになる。
 更に後日。
「月代君、ごめーん」
「ふあ?」
「全額賭けてねえ、スッカラカン」
「……うそおん」
 その後も賭樺は通い続けている。こういう娘なのだろう……。
 閑話休題。
「競馬外れた……」
「ご愁傷様……」
「うん、また暇なら付き合ってね……」
「ああ、もう御免だ……」


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