ダイアル・オン に 欲望争奪奮戦記 〜やらねばいったい誰がやる〜 翌日。前日の騒動も終わり、各自が学校へと登校中。 「ね、雪那」 「ん?」 事情を聞いた瀬里奈は、ふと思った疑問を口にする。 「あの子さ、また会うみたいなこと言ってたけど、来るのかな」 「んー、どうだろう。前に1度手紙を出したことはあったが、それ以降音沙汰なしだったからな。昨日きたのもいきなりだったし。また来たらそれで、お前も交えて話しでもするさ」 「そっか。アティが知らないのは意外だったけど」 「アティと会う前だからな。一緒に組んでいた時期がある。腕は立って当然だし」 「まあね。見たことなかったけど、可愛いもんね」 他愛も無い話をしながら生徒玄関へと向かう。隣で雪華がぶつぶつ何かを言いながら歩いているが、関わろうとすると睨まれるため、今日1日くらいは話しかけないほうがいいのだろう。 「雪華ちゃん、じゃあね」 「あ、はい」 雪華は瀬里奈にはしっかりと反応する。雪那は兄としての威厳が薄れてたような気がして、さりげなくへこんだ。 教室まで移動し、いつもよりは時間に余裕を持って席に着席する。 「おー雪那―」 「なんだ田中」 「今日は余裕だな。雨でも降るか」 「その前にお前に血の雨を降らしてやろう」 「すんません」 直角に折れて謝る田中。いつものやりとりである。そうこうしている内にチャイムが鳴り、朝のHRが始まる。これもいつも通りに終了するものと思われた。 「――。えー、これで朝の連絡事項は終わりだが、このクラスにはもう一つある」 えー、と周りから非難の声が上がる。だが、担任はそれを気にせずに話を続けた。 「突然だが転校生だ。仲良くしてやってくれ。入っていいぞー」 静まり返る教室の中に1人の少女が入ってくる。青い髪。青い瞳。きめ細かい肌に小柄な体。学校の制服を着たその姿は可愛らしく、まるで外国人の人形のようであった。 「本日から転校してきたリズ・パルシェです。よろしくお願いしまーす!」 『ええええええええええええええええー!?』 雪那と瀬里奈は、綺麗なユニゾンで叫び声を上げた。 |