ウヰスキー

 福岡での出版物記念パーティーに出席した。
春秋季刊で「さわやか」と名づけられたミニコミ紙の長い歴史を関係者で祝う パーティーである。女性主宰者の日常に根ざして命名されたと言う辺りは 同人達にも先見の明があったものと察せられる。
小生に彼女の来し方の詳細など知る由もなく、最も感心しているのは彼女の 決断の確実さと、行動の速さである・・・と言う程度の小生の認識である。

 彼女はかつて病で突然声が出なくなった事があって、その時体験した意思の 疎通の出来ないもどかしさから手話を学ぼうと直ちに習い始めたという。
勿論 もともと立て板に水のたとえの通りに、人をそらさぬ話題と気配りは 見事であり、昨今もその通りである。
  けれども本当に見事なのはそれから先で、その経験を土台にして進んで手話の ボランティア活動をはじめた事だろう。それも半端ではなく海外との交流はもとより、 ついに数年前には知的障害のある人達の為の近郊の施設の応援を始める。
施設の隣は「さわやか」会員の為の畑地になっていると言う。

 ホテル宴会場でのパーティーには東や西、そして離れ島から、漫画家、詩人、 エライさんや普通の勤め人、飾り凧を会場に持ち込む凧の会の会員などなど 250人程も祝いに集っただろうか。
小倉から来た祇園太鼓の乱れ打ち、これも会員ながら素人とはとても思えない 青い目の英語教師と仲間達による見事なジャズ演奏などが会場を盛り上げて、 会員の間を巡る主人公の顔は泣いたり、笑ったりクシャクシャになっていた。
さわやかをキーワードに集った大勢の熱烈なファン達と共に彼女の業績を称え、 これからの発展を祈ったのである。

 ところで彼女の本業は福岡の天神 親不孝通りビル屋上をテラスとして使うペントハウス風のスナックのママである。
  「モンブラン倶楽部」 (092-751-2403)
とても気楽な店だから もし機会があったら訪ねて夜空を眺めながらウヰスキーなど傾けて頂きたい。

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後日談:この項を載せるに当り久し振りに電話をしてみて驚いた、今忙しいのは
      10年ほど教え続けた知的障害者のダンス教室の発表会が近々あるそうで
       加えて老人施設でも最近ダンス教室を始めたので忙しさ一杯と・…
         どこまでやるのだろう、いつまでもお元気に