ちとせ飴

 11月15日は七五三の宮参りで、神様の前に子供の健やかな成長を感謝し、 その将来を願うのが習わしである。
最近では日付けは特にこだわることなく11月になったら良いといった程度 かもしれない。
週末などの休日の有名神社には誇らしげな顔つきの両親に付き添われ、手に 手に千歳飴をぶら下げた着飾った男の子、女の子でごった返す事になる。

 もっとも親にしてみれば3才、5才はまだまだチヤホヤする親の云う事を良く 聞いてくれるからそれなりだろうが、一人前に和服を着せられた7才ともなると、 憎まれ口の一つも叩く年頃になるから、その想い出にも親の思惑と子供の記憶 には少し食い違う事があるかもしれない。

 それはとも角として、千歳飴は紅白のさらし飴をパラフィン紙でくるんであって、その味は素朴 の一語に尽きるだろう。
千歳飴に関する印象の大部分は子供の体に較べれば大きめの色取り豊な紙袋である。
 

 そして心配する親の心に比較すれば時の経つのは早いもので、アッという間に 上の学校へ進み、成人して社会人となり、やがて目の前に突然一人の若者が 現われる。

 そして何とも晴れやかにウエディング・ケーキの前に二人並んで立つのを、 これまた感慨ひとしおな両親が見守る風景となってしまう。

 千歳飴からウエディング・ケーキまでの間の事などが走馬灯の様に思い巡る事 だろうか。

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