テキサス料理

 久し振りに先輩からメールで一杯やろうじゃないかというお誘いがあり、お互いカミさん連れで 日比谷交差点近くの場所で一晩の夕食を共にすることになった。
  振り返れば会社生活、入社間もない頃に知合ったのが初めだから 随分と古いお付き合いを 頂いている訳だ。

 会社の海外留学で米国に行った彼が帰国後配属された部署にたまたま小生が 居たと言うのが 初対面、 熱血正義漢の彼は何事をも疎かにせず、当時は証券市場の環境悪もあって厳しい 毎日の勤務を過ごす仲間に加わったのである。理不尽な所もある当時の勤務環境に彼は苦闘 していたかもしれない。

 その後 それぞれの転勤もあって年賀状の交換のみの交際になるが、10年の節目位 毎には いつも何故か小生は彼のお世話になる機会があったが、 またこの晩である・・・

 ところで再会当夜は、外国特派員倶楽部のダイニングでのディナー。  予約席は霞ヶ関の 官庁街から皇居の翠までが一望できる窓際の特等席にあり しばしその夕景に見とれていた。
当夜のイベント・メニューはビュッフェ・スタイルのテキサス料理であった。
まずはコールドの皿にいろいろな種類のサラダ如きものをとり 冷たいビールからスタートしたが、 ワインはせっかくのテキサス料理だからフランス物よりはと カリフォルニア産の赤を注文した。

    メキシコに隣接したテキサスはメキシコからデビー・クロケットなどの活躍で独立、合衆国に加わった州旗にも描かれたローン・ スター・ステイツである、テキサスの料理って…!?
 西部劇のスクリーンでカウボーイが野宿の焚き火で作っていたマメ主体の料理、ケチャップでつけた ような赤い色だったと思う。食後にカウボーイは砂をかけて皿を洗っていた様だった。
  デザートにはちょっと変わったケーキ(名前は知らない)とコーヒーなのだが・・・ブリキのケトルからジャブジャブとブリキカップに注ぐあの頃のコーヒーって一体どんな味がしたんだろうか?  
 荒野に本物のコーヒー・ビーンズなんてあったのかな?・・・・・・・

 今夜もサービス・テーブルには挽肉にビーンズの入った 各種料理があったけれど、こんな 思いで料理を頂きながら 昔と少しも変らない いつも、いつも極め付きのテキサス・ヒットを打って 大向こうを唸らせて来た 人生を 疎かにしない先輩との久し振りの一晩を過ごさせて頂いた。

 当然テーブルのワイン・ボトルは気持ち良く空になったが、 西部劇のように 向こうのバーテンの 手からカウンター上を滑ってくるグラスを掴み取り、ウイスキーをキュッーといっきに流し込む場面
だけはお預けだった。  それに恐らく、今夜の料理もコーヒーもテキサスの本場より遥かに旨かったに違いないと思う。

(2007)

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*最近の先輩ご夫妻の旅日記はこちらをご覧下さい。お腹が一杯になること請け合いです。