スパゲッティ・ポモドーロ

 トマトの水煮を煮詰めるだけの、いちばんシンプルなパスタで、仕上げのパルメザンチーズとバジルが、トマトの甘みと香りを引き立てます。・・・とレシピにはある
世界のネコ歩きを紹介して楽しい岩合光昭さんの番組を見ていた、シチリア編の猫くんたちは日本猫に似た容姿で街々や、地域で可愛がられている様子が好ましかった

 5〜6匹の猫くんたちが集まって来た場面は食事タイムを予見してのことで、それぞれの猫くんは貰ってやるんだとばかりの態度で・・・しかし内心では待ち遠しいのをさとられまいと擦寄るジェスチャーなどで集まり、大きな皿に盛られたスパゲッティ・ポモドーロに食らいつく姿を映していた
ネコはベジタリアンではないから肉も少々入れてもらっているようだった、やがて三毛のボス猫の番になり、鷹揚に一本のスパゲッティをくわえスルスルと器用に食べるのはさすがイタリア猫の面目だった

 むかし我が家の庭先でも親分肌のクロちゃんを慕ってやってくる野良猫たちに食事順を譲っていたゆったりと寝そべり体を舐めるクロちゃんの姿を彷彿させてくれたものだ、また昔は日本でもご飯に味噌汁をかけたり、残り物の魚の骨などを家人の食後にもらえるのがエサ、それをちゃぶ台脇に正座して待つのが賢い猫だったと思う 
 また番組では、別のシチリアの街で王様と云われている黒トラ君を丁寧に追跡した画面で、街中に何か所かの可愛がってくれるポイントを持っていて、時間に合わせて渡り歩き適当に好みの餌を頂戴して回る…街の人たちはそれぞれ自分の街の猫だと名前を付けていると・・・これまた我が家のクロちゃんの行動そのもの、ご近所に聞くと、まるで我が家顔をしていたいくつもの家があることが判った
 

 猫くんがスケジュールを組んで実行するには、どんな仕組みがあって時間管理をしているのか?  教えてほしいものだと思うが…残念ながらネコ語が解るならばの話・・・

 だが、ネコは絶対に時計を持っていると思える証拠場面を毎朝見ている
と云うのは、雨でも降らない限り続けているウォーキングはほぼ定時に家を出発する、同じコースを歩く運動だから冬ならまだ暗い頃だが、あるベンチに老婆がやってくる、茶トラの老猫はベンチの足元にうずくまり待っていることもあるし、あるいは老婆が先に来れば「・・・」と猫の名の呼び声を聞いて鷹揚にやってくることもある
しかし、大きな公園では寝場所の軒下もない事から会合時刻はきちんと判っていて近くにいるのだろう
そして夏になれば同時間にはもう太陽が上がって眩しく照らすようになっても老婆と老猫の会合時刻は変わることがない・・・だからネコは目に見える日の出や太陽の高さなどを参考にして時刻を図っているとは思えない、柱時計や腕時計は持ってないが、ネコはかなり正確な時計をどこにしまってあるのだろうかと思う

 この老婆と老猫のカップルは決して余所見をすることもなく、老婆の足元で貰った餌を美味しそうに食べている猫と幸せそうな老婆の姿を横目で見ながら、そのメニューは解らないが我が運動ウ ォーキングを続けるのだ

(2013)

想い出落書き帖のTOPへ戻る