山菜とろろぶっかけそば 長期予報の暖冬予想も年明けからの低温続きで裏切られてはいたが、1週間も前に東京の
さくらは満開だった。
もともと入学式風景は
さくらのトンネルを潜って校門へ向う位が当たり前の陽気のようだ。
それにしても
他の木の花たちもこの低温に戸惑っていたのだろうか、さくらと覇を競いながら
一斉に花咲いたから 思わぬ美しい花の春をプレゼントされたのだった。
都心では花も終わった春の一日、再びの花達を求めてドライブに出た、コースは多摩川を
遡り 奥多摩湖へ更に
その源流域を通り 大菩薩を越えて甲府盆地を訪ねる周回コースである。
東西に長い東京都、西に向うと青梅街道は次第に高度を上げる。JR青梅線終点辺りでは
「さくら」は見事な満開で 散り始めた花びらが道路上を舞っている。
奥多摩湖に着くとほぼ満水の岸辺にはそこかしこ見頃のさくらが咲き誇っていた。
ちょうど昼時である湖畔の茶店に立ち寄った、窓外の湖水は爽やかに
漣を光らせ、小枝の
先まで一杯の花を付けた山桜はゆらゆらと風に揺れていた。
こうした山の観光地に来ると何故か「山菜」だの「そば」だのを注文したくなる、今回も「山菜とろろ
ぶっかけそば」となんだか盛りだくさんの中身を想像させるメニューを選んだ。
さて「そば」は山菜にとろろを載せた手打ちの温かい汁そばである、とろろや幾種類もの山菜は
季節を超えている、考えてみると「そば粉」にしたってそうだ、今ではアフリカやオーストラリアなど
反対の季節の 南半球で育った新そば粉が大手をふって入ってきている。
いまやどれ程の食品が世界中から日本に来ているのだろう・・・なんでも、何時でも手に入る。
昼食後のドライブは次第に山が深くなり、進む道は山梨県丹波山村を通り過ぎた。
この辺りの崖にはしがみつくように「山つつじ」が浅い紫色の花を咲き誇ってる。
周りの木々は
新緑と言うには未熟な新芽が黄茶色、それも限りないくらいに多種類の色で 待ち望んだ
春に
向かってこずえの先に芽を出しているように見えた。
さらに進むと峠道にはまだ残雪も小さく跡を残し木々はまだ冬、まだ堅い芽は陽に向いこれから
膨らもうという景色、 ここは甲州市(塩山市)七男である。 |
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甲府盆地は霞んでいた、峠を降り 里に入る頃再び さくらが咲き始め やがて濃いピンクの花を
付けた桃の木が一面の果樹園となった。
折からハタキの様な道具を手に受粉作業中の年寄りから、ピンクに混じる白い花も種類が違うが
桃の木だ聞いた。人間のせいで受粉を助ける蜂や虫が居なくなり、その結果こうした作業が必要
になったのだか・・・だがそうした農作業をする人たちも都会へと出て行き 見捨てらた空家や
荒れた果樹園も多くなったと老人は嘆いていた。
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暖かな陽気になりすぎたのか北の山から黒雲が生まれ遠雷も聞こえてきた、雨が降れば
鳥の
羽根に花粉をつけながらの受粉作業は出来なくなる、作業の手を休ませて仕舞った年寄りに
話の礼を云い失礼した。
ちなみに花粉は花から採集してから6時間 電気で25℃の温度をかけて作業に使う花粉を作ると
いうことだった。
それにしても一杯に花を付けた小枝でも次の摘果作業では二個くらいを残すだけだという、
花も全てが桃の実になるのではなくて、厳しく選ばれ抜かれて本当の実になると言うことだった。
この辺りでは「さくらんぼ」も栽培されていて いまや花盛り 濃いピンクの花である。
帰路の
高速道路入口の勝沼はブドウ栽培の本場、だがブドウ棚はまだまだ冬景色のままだった。
ハウス栽培が多くなったとは言え盆地の春は美しく、
季節の流れを楽しんだ一日ドライブだった。
(2005)
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